
イギリスと中国が、キア・スターマー首相による「中国脅威論」発言を巡って対立を深めている。
Newsisの報道によると、中国のロンドン新大使館用地の決定が延期されたことに対し、中国側が強い遺憾を示したという。
スターマー首相「中国と対話は必要だが、脅威には対応する」
在英中国大使館の報道官は2日「イギリスが中国脅威論を広め、根拠のない非難を行っている」として「中国の内政に干渉する誤った発言に強く反対する」と述べた。
さらに「中国は世界平和の構築者であり、国際秩序の擁護者であることは、事実が十分に示している。中国の発展はどの国にとっても脅威ではなく、共同発展の機会をもたらすものだ」と主張した。
その上で、イギリスが中国に対して前向きで実務的な政策を追求し、中英関係を健全で安定した発展へ導くべきだと求めた。
スターマー首相は1日、ロンドン市内のギルドホールで行った外交政策演説で、アメリカ、欧州連合(EU)、中国を「今日の世界3大強国」と位置づけ「イギリスが中国と対話しない状況はもはや続けられない」と発言した。
一方で「中国がイギリスの国家安全保障に脅威を与えている」とも指摘し「対応措置を継続する」と述べた。
中側専門家「中国を牽制しつつ経済利益も追求する戦略」
中国外交学院の李海東教授は、国営英字紙グローバル・タイムズの取材に対し、スターマー首相の発言は「中国の影響力を抑えつつ、経済的利益を得ようとする二面戦略」だとの見方を示した。
スターマー首相は「両国関係は黄金期か氷河期かという単純な二者択一ではなく、互いを守りながらも協力と貿易は可能だと認識する真剣な姿勢が求められる」とも述べた。
BBCは、スターマー首相の「中国脅威論」発言は、最近の情報機関MI5が「中国のスパイが議員を標的にしている」と警告したことを受けたものだと報じた。
MI5の指摘に対し、中国外務省の報道官は先月19日の会見で「中国にイギリス議会から情報を収集する意図はない」と反論し「根拠なき主張をやめるよう求める」と述べていた。
スターマー首相は、前政権の対中関係の停滞を「職務放棄」と批判している。
2018年以降、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は2度、ドイツ首相は4度中国を訪れたが、イギリスの首相が訪中したのは2018年のテリーザ・メイ前首相が最後だった。
ロイター通信は、スターマー首相が来年に中国訪問を計画していると報じている。
ロンドン新大使館用地、決定延期で反発強まる
こうした中、中国大使館の新用地決定は、当初予定されていた今月10日から来月20日へと延期された。
在英中国大使館の報道官は2日、大使館ウェブサイトに声明を掲載し「イギリス側が計画申請への決定を繰り返し延期していることに強い遺憾の意を表する」と述べた。
英政府側は、内務省など関係機関の意見集約が必要だと延期決定の理由を説明している。
中国大使館の報道官はまた「両国間の相互信頼と協力をこれ以上損なわないよう、早期の承認を強く求める」と述べた。
中国は2018年、イギリス王室所有だった王立造幣局跡地「ロイヤル・ミント・コート」約2万平方メートルを約2億5,500万ポンド(約528億5,613万9,231円)で購入し、現在ロンドンのメリルボーンにある大使館を移転・新築する計画を進めてきた。
ロンドン塔近くに欧州最大規模の中国大使館を建設することについては、地元住民から治安や観光への影響を懸念する声が以前から上がっていた。
中国は2022年から大使館移転を試みたが、該当地域のタワー・ハムレッツ区議会が安全上の懸念や観光に与える影響などを理由に拒否し、実現しなかった。
昨年、労働党政権が発足後、都市計画を所管するアンジェラ・レイナー副首相が中国大使館移転に関する審査権限を地方から中央政府に移したことで、計画再始動の動きが出ていた。
しかし中国大使館側が「安全保障」を理由に設計図面を公開していないことから、ロンドン金融街の通信網に接触し金融システムに侵入される可能性があるとの懸念も根強く、承認判断は先送りされた状態が続いている。














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