
テスラのイーロン・マスクCEOが自身のソーシャル・メディア「X(旧Twitter)」に1億2,000万ユーロ(約216億8,235万円)を超える課徴金を科した欧州連合(EU)に対して攻勢を続けている。米トランプ政権の行政府も今回の措置を「表現の自由を圧迫する規制」と批判し、米・EU間の衝突が一層激化する様相だ。
Newsisの報道によると、マスクCEOは6日(現地時間)、Xに「EUはこの馬鹿げた罰金をXだけでなく私個人にも科した」とし、「したがって我々の対応もEUだけでなく私に対してこのような措置を取った個人たちにも適用するのが妥当だと思う」と書いた。これは課徴金を決定した欧州委員会だけでなく、その決定に関与した「個人たち」まで狙って対応の水準を高めるという警告的メッセージと解釈される。ただし、どのような形の個人的責任追及を念頭に置いているのかは具体的に明らかにしていない。
マスクCEOは続けて投稿した文章で「EUは解体され、主権は各個別国家に戻されるべきだ」とし、「そうすれば各国政府が自国民をよりよく代表できる」とも批判した。彼はまた別の投稿で米保守陣営が進歩的価値・アイデンティティの強要を批判する際に使用する表現である「ウォーク(woke)」と旧東ドイツの秘密警察「シュタージ(Stasi)」、ソ連共産党政治将校「コミッサール」などを一緒にまとめてEUを狙った。
彼は「EUのウォーク・シュタージ・コミッサールたちは『ストライサンド効果』の真の意味をすぐに知ることになるだろう」と主張した。「ストライサンド効果」とは、ある情報を隠そうとすればするほど、逆に広まる現象を指す。トランプ政権もマスクCEOを支持し、自国のソーシャル・メディア・プラットフォームとその所有者に1億2,000万ユーロを超える課徴金を科したEUを強く非難している。
これまでトランプ政権はEUのビッグテック規制が非関税障壁として作用するだけでなく、表現の自由を抑圧するとして廃止を要求してきた。JD・ヴァンス米副大統領は課徴金の方針が知られた後、「EUは米企業を無駄な問題で攻撃するのではなく、表現の自由を支持すべきだ」と批判した。マルコ・ルビオ米国務長官もXに「今回の罰金はXだけを狙ったものではなく、すべての米国技術プラットフォームと米国民に対する外国政府の攻撃だ」とし、「オンラインで米国人を検閲する時代は終わった」と主張した。
クリストファー・ランドー米国務副長官はEUに向けて「選出されていない非民主的権力が文明的自殺政策を追求している」と非難した。この発言は前日トランプ政権が発表した国家安全保障戦略(NSS)が欧州を「文明消滅の厳しい展望」に直面している地域と規定し、欧州に「文明的自尊心を回復し、失敗した息苦しい規制を撤廃せよ」と呼びかけた部分と軌を一にする。
Xの課徴金発表と連動して米国が欧州の「文明消滅」危機まで言及しながら口出しすると、両者の神経戦も激化している。ポーランドのラドスワフ・シコルスキ外務大臣はマスクCEOを狙ってXに「火星に行け。そこにはナチス式敬礼の規制がない」と書いた。EUのヨビタ・ネリウプシエネ駐米大使も「規制は我々の主権的権利だ」とし、外国企業を差別しないと反論した。
これに先立ち、EUは5日にXの有料認証マークである「ブルーバッジ」が利用者を欺き、広告の透明性とデータアクセス権がEUの基準に達していないとして課徴金1億2,000万ユーロを科した。EUは「ビッグテックの横暴防止法」と呼ばれるデジタル市場法(DMA)などを根拠に米国の巨大技術企業に天文学的な課徴金を科してきた。今回のXの課徴金は2023年に新たに導入されたデジタルサービス法(DSA)に基づく初の処分だ。














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