
ウクライナと米国は最近、米南部フロリダ州マイアミ近郊で3日間にわたりウクライナ戦争の終結に向けた協議を行ったが、明確な打開策は見いだせなかった。ウクライナは支援を求めて再び欧州に渡り、主要国首脳との協議を本格化させる方針だ。
7日(現地時間)、米議会が設立した非営利メディア「ラジオ・フリー・ヨーロッパ/ラジオ・リバティー(RFE/RL)」によると、米側は5日、フロリダ州マイアミ近郊でウクライナ交渉団と会い、2日に行われたロシアとの会談結果を共有した。その後も米ウクライナ両国は協議を続けたものの、大きな進展は得られなかったとされる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は協議直後、交流サイトのテレグラムに「米側と真の平和のために誠実に協力していく」と投稿し、今後の協議の段階や形式について合意に達したと明らかにした。ただ、具体的な内容は公表していない。
ゼレンスキー大統領は7日夜のビデオ演説でも「米国の特使はウクライナの核心的立場を把握しており、対話は建設的だったが、容易ではなかった」と述べ、協議の難しさをにじませた。
今回の米ウクライナ間の協議は、昨年11月に報道を通じて存在が明らかになった「28項目の和平案」をめぐるものとされる。
当初案はロシアに過度に有利だとの批判を受けたが、その後ウクライナや欧州側の意見を反映し、19項目に絞り込む修正が行われた。ただ、最新の改訂版は公表されていない。
トランプ政権はロシアとウクライナの双方に対し、戦争終結に向けた合意を促しているものの、領土や安全保障など核心的な論点では、いまだ実質的な進展が見られていない。
米側は「合意は目前だ」とのメッセージを繰り返している。7日にカリフォルニアで開かれた「レーガン国防フォーラム」で、トランプ大統領のウクライナ特使を務めるキース・ケロッグ氏は、ウクライナ戦争終結に向けた合意について「本当に目前まで迫っている」と語った。ただ、その発言からも、最も重要な問題は依然として決着していないことがうかがえる。
ケロッグ特使によると、主要な争点は二つある。一つは領土問題、とりわけウクライナ東部ドンバス地域の今後の支配権の扱いで、もう一つは欧州最大規模でありながら、現在もロシアの支配下に置かれているウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の地位だという。ケロッグ氏は「この二つの争点が解決されれば、残りの問題はかなりスムーズに進むだろう。ほとんど片付いたと言ってよい」とも述べた。
米国との協議で突破口を開けなかったゼレンスキー大統領は8日にロンドンを訪れ、欧州の主要同盟国首脳と会談する。現在の協議状況を共有したうえで、今後の米国との交渉戦略を協議するとみられる。ウクライナ側は、ロシアの再侵攻を抑止できる確実な安全保障上の保証と、追加的な領土譲歩を伴わない形での停戦を求めている。
ゼレンスキー大統領はロンドンで、キア・スターマー英首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、フリードリヒ・メルツ独首相と個別に会談し、ロシアによる民間施設やエネルギー施設への攻撃が激しさを増すなか、防空システムなど追加支援も要請する計画だ。
ゼレンスキー大統領は7日、テレグラムへの投稿で「毎日、ロシア軍の爆撃による被害を緊急対応チームが処理している」と述べ、「防空システムやミサイルの支援が急務だ」と訴えた。
ロシアは、ウクライナと米国がフロリダで協議を続けるさなかも攻撃を続け、ウクライナへの圧力を強めている。
英BBCによると、ウクライナ中部の工業都市クレメンチュクのビタリー・マレツク市長は、6日夜から7日未明にかけて都市インフラが「大規模な」攻撃を受け、一部地域で水道、電力、暖房の供給が途絶えたと明らかにした。
ロシア軍は7日には、ウクライナ北東部ハルキウ州にあるペチェニヒ・ダムも攻撃した。ペチェニヒのオレクサンドル・フサロフ市長は、この攻撃により深刻な被害が懸念されると述べた。隣接する村ではロシアの攻撃により1人が死亡したと、独立系メディア「キイウ・インディペンデント」が伝えている。
ロシア国防省は7日の声明で、ハルキウ州のクチェリウカ(ロシア名クチェロフカ)と、東部ドネツク州のリウネ(ロシア名ロブノエ)を制圧したと主張した。
マクロン大統領は6日、「ウクライナは、われわれの揺るぎない支援に頼ることができる」と述べ、欧州4か国の首脳グループがロンドンでの会合で和平協議の進捗状況を確認する予定だと明らかにした。イタリアは会合には参加しないものの、ゼレンスキー氏との電話会談を通じ、連帯と支援の姿勢を伝えたという。
英政府のパット・マクファデン高官は「ウクライナは重大な岐路に立っている」と指摘し、「今回の会談の焦点は、ウクライナが自らの未来を自ら決められるようにすることだ」と強調した。















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