国立大の留学生授業料、来年度から1.7倍に
フランスもEU非加盟国の留学生は16倍に値上げ

日本やフランスの主要大学が、留学生にのみ高額の授業料を課す「差別的値上げ」を進めている。財政難を理由に挙げる一方で、高等教育の国際競争力低下や逆差別をめぐる議論を招いているとの指摘も出ている。
4日付の「NHK」などによれば、国立の東北大学は来年度から留学生の授業料を日本人学生の1.7倍にあたる年間90万円へ引き上げる。現在の53万5,800円から大幅な値上げとなり、2027年度の新入生から適用される予定だ。広島大学でも留学生の授業料増額を検討しているという。
これまで国立大学は法律で授業料の基準額が定められていたため、日本人と留学生の授業料は同額だった。しかし昨年、政府が「留学生の授業料上限」を撤廃したことで、留学生だけを対象にした値上げの動きが相次いでいる。
私立大学では、外国人留学生が5,562人(2025年5月時点)と最も多い早稲田大学が留学生向け授業料の引き上げを検討している。早稲田大学が公表した来年度の学部授業料は年間120万~180万円で、大学側は「留学生の学校生活支援には追加費用が発生しており、その分の負担を求める必要がある」と説明している。
一方、留学生が約2,169人の慶應義塾大学は来年度の授業料を据え置く方針を示したものの、その後の対応についてはまだ決まっていないという。
ヨーロッパでも同様の動きが広がっている。フランスのパリ第1大学パンテオン・ソルボンヌは、2026年度からEU加盟国以外の出身者を対象に留学生の授業料を従来の約16倍に引き上げる方針だ。これにより、学士課程の授業料は178ユーロ(約3万円)から2,895ユーロ(約50万円)に、修士課程は254ユーロ(約5万円)から3,941ユーロ(約70万円)へと大幅に上昇する。
同大学はこれまで授業料の多くを国家が負担してきたため、学生の自己負担額が極めて低いフランス公立高等教育の典型とされてきた。こうした仕組みの中で、外国人留学生にのみ大幅な値上げを実施するのは異例だとの指摘が出ている。
フランス政府は2019年から公立大学に対し、留学生に高額な授業料を課すことを認めてきたが、パリ第1大学を含む多くの大学は「差別的だ」という理由で従来の低額制度を維持してきた経緯がある。
パリ第1大学のマリー・エマニュエル・ポムロール政治学教授は、フランス国営「ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)」の取材に対して「出身国による差別は容認できない」と批判した。留学生だけを対象にした学費引き上げは大学の財政難を根本的に解決する手段にはならないと指摘した。














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