
ドナルド・トランプ米政権の外交・経済・軍事分野の総合戦略指針である「国家安全保障戦略」(NSS)が4日(現地時間)に公開された。特に、トランプ政権1期の時には北朝鮮を主要な敵国の一つとして10回以上言及していたが、2期に入ってからは一切言及されず、北朝鮮問題が政策優先度から後退したことがうかがえる。
米政府がこの日公開したNSS報告書によると、ホワイトハウスは新しい国家安全保障戦略で「これらの国(韓国・日本)が敵(中国)をけん制し、第一列島線(九州~沖縄~台湾~フィリピンを結ぶ海上防衛線)を保護するために必要な能力に重点を置き、これらの国に国防費を増額するよう促すべきだ」と明記した。
これにより、韓国に対する防衛費負担の圧力が強まり、北朝鮮に対する従来型防衛は韓国が担い、駐韓米軍は対中抑止の役割を拡大するという「戦略的柔軟性」の議論も加速すると見られる。
また、先月13日に公開された米韓首脳会談ファクトシート(共同説明資料)では「米韓同盟の現代化」とともに韓国の国防費を2035年まで国内総生産(GDP)の3.5%まで拡大するという計画が盛り込まれているため、米国の国防費増額圧力がしばらく続くとの見方が出ている。
今回の新NSSは前年版よりもページ数が半減し33ページとなり、北朝鮮には一度も触れられていない。2017年12月にトランプ第1期政権下で発表された68ページ版では北朝鮮が17回言及されていた。これは、北朝鮮の核問題が米国の安全保障優先順位で大幅に後退したと解釈される。
NSSはアジア部門で、インド太平洋地域の戦略的重要性を強調した。この地域はすでに核となる地政学的競争の場であり、今後もその状況は続くと指摘している。重要なのは、この地域で戦争を防ぐためには、強力な抑止力に対する継続的な注力が必ず伴わなければならないということである。
また、台湾を巡る軍事衝突抑止を米国の対アジア戦略の最優先目標に設定した内容も含まれている。国家安全保障戦略は台湾海峡の緊張状況に関連して「米国は台湾に対する長年の宣言的政策を維持し、これは台湾海峡の現状を一方的に変更しようとするいかなる試みも支持しないことを意味する」とし、「米国が軍事的優位を維持することで台湾の紛争を抑制することが最優先課題だ」と明記した。
これを実現するために、国家安全保障戦略は同盟国の役割と責任の拡大を強調した。「米国は第一列島線のいかなる地点でも侵略を阻止する軍隊を構築するが、米軍が単独で遂行することはできず、またそうあるべきではない」とし、同盟国は集団防衛のための支出を増やすとともに、何よりも実質的な行動を取るよう促している。
さらに「米国の外交的努力は第一列島線の同盟国及びパートナー国に対し、米軍の港湾及びその他の施設へのアクセス権の拡大、自国防衛費の増額、そして何よりも侵略抑止能力の強化への投資を促すことに集中すべきだ」と強調した。
トランプ大統領は新国家安全保障戦略の序文を通じて「アメリカ・ファースト」の原則を安全保障戦略の根幹に据える意志を示した。彼は「(就任後)この9ヶ月間、我々の政権は国内外で米国の力を回復し、世界に平和と安定をもたらすために迅速かつ歴史的なスピードで動いてきた」とし、「同盟国と協力して集団防衛のためにより多くの貢献を引き出した。ここにはNATO(北大西洋条約機構)加盟国が国防費をGDP比2%から5%に増額するという歴史的な約束が含まれる」と言及した。
そして「すべての事において米国を最優先にしている」とし、「今後数年間で我々は米国をこれまで以上に安全で裕福で自由で偉大で強力にする」と付け加えた。













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