
ドナルド・トランプ米大統領が公開演説の場で、北朝鮮を「アメリカより強力な国境を持つ国」として挙げた。
米紙「ニュースウィーク」などによると、9日(現地時間)夕方、トランプ大統領はペンシルベニア州マウント・ポコノのマウントエアリー・カジノリゾートで開かれた支持者向けの演説で、2期目の移民取り締まり強化により、米国が世界で最も強力な国境の一つを持つようになったと自賛した。そのうえで「アメリカより強力な国境を持つ国がある。それは北朝鮮だ」と述べた。
トランプ大統領は「北朝鮮には7重の鉄条網の壁があり、それぞれに100万ボルトの電流が流れている。1つ越えれば次で死ぬだろう。1つ越えればすでに体はボロボロで、2つ越えたら記録だ」と語った。続けて「北朝鮮が最も安全な国境を持っていると思うが、我々(米国の国境)もかなり安全だ」と強調した。
トランプ大統領はこの日の演説で「ジョー・バイデン前政権は数千万人を、『適切な管理も検証も行わず』に米国へ入国させた。その結果、2,500万人がアメリカに流入し、その大半が南部国境を越えてきた」と批判した。
さらに「我々はバイデン前政権から世界史上最悪の国境を引き継いだ。しかし今では、米国史上最も強力で、精密に管理された国境を持つに至った。7カ月連続で米国に入国した不法移民はゼロだ」と強調した。
ニュースウィークは、トランプ大統領が北朝鮮の「7重の鉄条網」を取り上げつつ米国の国境の安全性を強調した点について「国内外の政策に関する自身のナラティブ(物語)を、一貫して『国境』という言葉で結びつけようとしていることを示している」と指摘した。
「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」は、「当初、この日の演説は支持率低下の背景とされる物価負担に焦点を当てる予定だった。しかし、トランプ大統領は経済よりも反移民的な訴えに多くの時間を割いた」と報じた。
さらに「トランプ大統領は演説で、不法移民と合法的な手続きを経て米国に入国し市民権を取得した人々を区別しつつ、外国人嫌悪的な発言を繰り返した」とし、「ソマリア系移民を怠惰で殺人的、さらには『ゴミ』と呼び、移民の出身国を『汚くて嫌だ』と非難した」と批判した。
一方、トランプ大統領はこの日の演説で「インフレ緩和」と、景気後退局面で物価が下落する「デフレ(物価下落)」を混同して用い、不正確な統計を引用したとNYTは指摘した。トランプ大統領は、関税などによる物価上昇の懸念に対し「我々の物価は大幅に下がっている」と主張した後、最終的には「インフレは止まった」と述べた。
これについてNYTは米労働統計局のデータを引用し、「9月時点で米国のインフレ率は約3%で、バイデン前政権末期とほぼ同水準だ」と説明。「トランプ大統領はこの日の演説で根拠のない主張を繰り返した」と批判した。9月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.8%上昇し、1年6カ月ぶりの高い伸びを記録している。













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