「米国を信頼」は21%のみ
トランプ大統領の選挙圧力にも反発

ウクライナ戦争を巡る停戦条件について、確固とした安全保障がないままロシアに有利な終戦案を受け入れることに反対するウクライナ国民が過半数を超えることが明らかになった。
ロイター通信によると、15日(現地時間)、キーウ国際社会学研究所(KIIS)が実施した世論調査の結果として、回答者の75%が、安全保障が伴わない状況で領土の放棄や軍兵力の制限を含む終戦計画について「決して容認できない」と答えたという。
調査は先月末から今月中旬にかけて、ウクライナ国内の547人を対象に行われた。
一方で、回答者の72%は、現在の戦線を事実上凍結し、一部を譲歩する形での交渉については受け入れる用意があると答えた。
ロイター通信は、この世論調査の結果が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が直面している難しい立場を如実に示していると指摘した。停戦案の受け入れを求める米国の圧力の中で、交渉には柔軟な姿勢を示しつつも、ウクライナ国民が到底受け入れられない水準の譲歩は避けるバランスを取る必要があるという。
当初、米国が提示した終戦案には、ウクライナがドンバス地方(ドネツク州・ルハンシク州)をロシアに譲り、軍の規模も制限する内容が含まれていた。米国は終戦交渉の局面においてもドンバスからの撤退を強く求めているが、ウクライナ側は領土を明け渡すことはできないとの立場を崩しておらず、協議は平行線をたどっている。
今回の世論調査には、こうしたウクライナ内部の空気が反映された形だ。
回答者の63%は、引き続き戦う準備ができていると答え、来年初めまでに戦争が終結すると見込む人は9%にとどまった。
米国の支援に対するウクライナ国民の懐疑的な見方も強まっている。今回の調査では、米国を信頼すると答えた人は21%にとどまり、昨年12月に行われた同様の調査での41%から大幅に低下した。同じ期間に、北大西洋条約機構(NATO)に対する信頼度も43%から34%へと下がっている。
KIISのアントン・フルシェツキー専務理事は「安全保障が曖昧で拘束力を欠くものであれば、ウクライナ国民はそれを信頼しない。そのことは、和平合意の承認にも影響を及ぼす」と述べた。
また、戦争が終結する前に選挙を実施すべきだと考えるウクライナ人は9%にとどまった。
フルシェツキー氏は、汚職スキャンダルを受けて一時はゼレンスキー大統領への信頼が低下した可能性があるとしながらも、米国からの圧力が強まる中で現在は61%まで回復していると説明した。その上で「選挙強要の動きは、ウクライナを弱体化させようとする試みと受け止められている」と述べた。ウクライナが戦争を理由に選挙を回避しているとするドナルド・トランプ米大統領の圧力が、結果としてゼレンスキー大統領に有利に作用しているとの見方を示した。














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