
ウクライナが米国と欧州による確実な安全保障が得られるのであれば、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念する可能性があると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が14日(現地時間)に明らかにした。
ゼレンスキー大統領はこの日、米国特使団との終戦協議を前に、記者団とのWhatsAppでの質疑応答に応じ「そもそもウクライナがNATO加盟を望んできたのは、真の安全保障を得るためだった」とし「米国や一部の欧州のパートナーは、こうした方向性を支持してこなかった」と述べた。
さらに「現時点では、米国からNATO第5条(集団防衛条項)に準じる二国間の安全保障と、欧州諸国やカナダ、日本などからの安全保障が、ロシアの再侵攻を防ぐための機会となる」と指摘し「これはウクライナとしてすでに行った妥協だ」と強調した。
ドナルド・トランプ米政権は、ウクライナのNATO加盟は認められないとの立場を取っており、集団安全保障の付与には米連邦議会の承認が必要になる。
領土問題を巡ってゼレンスキー大統領は「現在の位置を維持する」という原則に基づく停戦のみが唯一公平な選択肢だと述べ、停戦後は外交的手段によって問題を解決できるとの考えを示した。
また、ゼレンスキー大統領は米国が支持する「自由経済区」や「非武装地帯」構想については、双方が対称的に兵力を撤退させる場合にのみ正当性があるとした上で「現時点では答えのない問題だ」と一蹴した。
終戦交渉を巡っては、ロシアの再侵攻を防ぐためのウクライナへの安全保障の在り方と、ロシア軍が大部分を占領しているウクライナ東部ドネツク州の統治問題が大きな障害となっている。
米国は、ウクライナが約14%を掌握しているドネツク州を、韓国の非武装地帯のような形に転換する案を提案したが、ロシアは州全域の掌握を目指す姿勢を崩さず、これを拒否した。ウクライナ側も、NATO加盟は断念しても、領土の譲歩は受け入れられないとしている。
ゼレンスキー大統領は、米国の提案は実行不可能だとして拒否したと説明し「その経済区を誰が管理するのか」と疑問を呈した上で「ウクライナ軍が5キロから10キロ撤退するのであれば、ロシア軍も同じ距離だけ占領地の内側へ後退すべきだ」と指摘した。
これに対し、ロシアのユーリー・ウシャコフ大統領府外交政策補佐官は同日、韓国の非武装地帯のような解決策は協議されたことがないと述べた。ウクライナ終戦交渉で韓国式の選択肢が議論されたことは一度もないとし「そのような話を聞いたこともない」と主張した。
ウシャコフ補佐官はまた、欧州やウクライナが、ロシアにとって領土問題など受け入れがたい修正案を提示する可能性があるとし、その場合は「非常に強く反対する」と警告した。さらに、ドネツク州の一部が非武装地帯に指定されたとしても、ロシアの警察や国家親衛隊は当該地域にとどまるとの見解を示した。














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