
米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長候補として有力視されてきたケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長について、ドナルド・トランプ大統領との距離が近すぎるとの認識が広がり、指名の可能性が後退しているとの見方が浮上している。
米「CNBC」は16日(現地時間)、匿名の関係者の話として「ハセット氏の指名は一時ほぼ確実とみられていたが、トランプ大統領に影響力を持つ政権内部の高官らの一部から反対に直面した」と報じた。
関係者によれば「ハセット氏がトランプ大統領の影響圏に深く入り込みすぎているとの印象が、長期的に市場の反発を招きかねない」との懸念が、12月以降、次第に強まっているという。
ハセット氏は、トランプ大統領の側近であることから当初、有力候補として浮上したが、同じ理由をもって政権内の高官の一部が指名に否定的な姿勢を示しているとされる。
トランプ大統領は今月2日の閣議で、次期FRB議長候補を10人から1人に絞り込んだと述べ、ハセット氏を「潜在的なFRB議長」と紹介したことから、事実上の内定との観測が広がった。
しかしその約10日後の12日、大統領は「ケビンは2人いる。私はどちらのケビンも素晴らしいと思う」と述べ、ケビン・ウォーシュ元FRB理事を競争相手として再浮上させた。いったん中止されていた最終面接も再開された。
予測市場「Kalshi(カルシ)」によると、ハセット氏の指名確率は当初80%を超えていたが、大統領の発言後に51%まで急落。一方、月初時点で11%にとどまっていたウォーシュ氏の確率は44%まで上昇し、両者の差は7ポイントにまで縮まった。
JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)も、最近の公の場で両候補に言及しつつ、ウォーシュ氏により好意的な評価を示したと伝えられている。
CNBCは、こうした状況を受け、ハセット氏が意図的にトランプ大統領との距離を取ろうとしていると分析する。
ハセット氏は14日、CBS番組「フェイス・ザ・ネーション」に出演し「FRBの究極的な役割は、独立して行動し、理事会および連邦公開市場委員会(FOMC)とともに、金利について集団的な合意を形成することだ」と強調した。
さらに「大統領には投票権はない」と述べ「政策決定者は大統領の意見を退ける自由を持つ。大統領の見解は、データに基づき合理的である場合にのみ意味を持つ」と語り、FRBの独立性を改めて強調した。














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