
ウクライナ戦争の終結に向けた交渉を進める米国が、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が終戦案を受け入れない場合に備え、エネルギー分野で新たな制裁を準備していると報じられた。
ブルームバーグ通信は匿名の関係者の話として、米国がロシアの「シャドーフリート」や、その取引を仲介する貿易業者などに制裁を科す案を検討していると伝えた。シャドーフリートは、ロシアが国際社会の制裁を回避して原油を密輸出する際に利用しているとされ、関係者は「早ければ今週中にも新制裁が発表される可能性がある」としている。
スコット・ベセント米財務長官は今週初め、欧州側の代表団と会談した際、この問題を協議したとされる。ベセント長官は会談後、「トランプ大統領は平和の大統領であり、その指導の下で米国はウクライナ戦争の終結を最優先課題とする」と改めて強調した。ただ、最終判断はトランプ大統領に委ねられると関係者は同通信に語った。
トランプ大統領は10月、2期目に入って初めてロシアの石油企業2社を制裁対象に加えた。西側諸国はウクライナ戦争の勃発以降、ロシアの戦費を断つ狙いで原油価格の上限設定など、さまざまな制裁を科してきたが、現時点では戦闘停止には結び付いていない。ロシアは国際制裁による経済的負担が増す中でも、ウクライナへの攻撃を続けている。
こうした中、米国はウクライナに対し、北大西洋条約機構(NATO)憲章5条に類似する内容の安全保障案を提示し、終戦交渉を加速させている。トランプ大統領は「終戦に、これまで以上に近づいている」と述べ、協議に参加する米当局者からも「9割で合意に達した」として最終妥結を迫る発言が出ている。
一方で、ドンバス(ドネツク州・ルハンシク州)を含む領土問題や、凍結されたロシア中央銀行資産の扱い、ザポリージャ原発の管理を巡る問題など、争点は依然として残っているとの見方もある。
米国の追加制裁の可能性に対し、ロシア大統領府(クレムリン)は「いかなる制裁も、米露関係改善に向けた努力を妨げる」として否定的な姿勢を示したと、ロイター通信が伝えた。















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