ウクライナ支援でEUが「賠償金向け融資」を強行 格付け機関が警鐘

国際信用格付け会社フィッチが、ロシアの凍結資産を原資にウクライナ支援を行えば、信用格付けを引き下げる可能性があるとして、ベルギーの中央証券保管機関(CSD)ユーロクリアに警告したと、ロイター通信などが17日(現地時間)報じた。
報道によると、EUはユーロクリアに凍結されているロシア中央銀行資産を活用し、「賠償金向け融資」という形でウクライナを支援する案を検討している。フィッチはこの構想が実行に移れば、ユーロクリアに法的リスクや流動性リスクが生じ得るとして、同社を「格付け引き下げの検討対象」に加えた。
これを受け、ユーロクリアは17日に声明を発表した。フィッチの判断は、融資計画の枠組みがより明確になり、具体的な安全措置が示される必要性を浮き彫りにしたとの見方を示し、複数のシナリオを想定して対応を進めていると説明した。広報担当者もメールで、適切で包括的な安全措置が整えば、想定される重大リスクは短期・長期の両面で管理できるとの認識を示している。
ユーロクリアは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、EU域内で凍結されたロシア資産(2,100億ユーロ:約38兆円)の大部分を保有している。現在は、その資金を欧州中央銀行(ECB)に預け入れる形で運用しているという。
一方、EU側は凍結資産の活用を模索してきたものの、法的な争点に加え、ロシアの報復を懸念するベルギーなどの慎重姿勢もあり、議論はなお難航している。ロシアは、凍結資産に手を付けることを「窃盗」だとして強く反発しており、EUの構想は違法だと主張したうえで、ユーロクリアを相手取って18兆1,700億ルーブル(約35兆円)規模の訴訟を提起すると最近発表した。
フィッチはまた、法的・流動性面の保護措置が不十分なまま、ロシア中央銀行資産が返済原資として扱われる事態になれば、ユーロクリアの財務上、資産と負債の満期のずれが拡大し、流動性危機につながりかねないとも指摘した。そのうえで、政策決定の手順や融資実行の枠組みが固まった段階で、信用格付けを最終判断する考えを示している。
EUは18日からブリュッセルで2日間の首脳会議を開き、凍結ロシア資産を活用したウクライナ向け融資について最終合意を目指す見通しだ。














コメント0