新規着工は販売面積の59%まで低下、2003年以降で最低水準
所得見通しの鈍化が影響、建設各社は「家は売れない」と判断

中国の住宅新規着工が、販売面積の半分近くまで落ち込んだ。過去の金融危機や不動産市場の調整期を下回る水準で、中国では「建てても採算が取れない」という建設会社の判断が定着しつつあるとの見方が出ている。
背景には、将来の所得がこれ以上伸びないとの国民心理が固定化し、住宅が売れず建設も冷え込む悪循環が続いている点があると、専門家は指摘している。
中国経済メディアの財新は17日、国家統計局が発表した1〜11月の全国の住宅新規着工面積と新築住宅販売面積を分析し、新規着工が同期の販売面積の59.5%にとどまったと報じた。中国の住宅市場の出発点とされる2003年以降で最低の比率だという。財新は、この比率が50%台に入ったことについて、「建設ブームの時代」の終焉を示し、不動産市場が深い調整局面に入ったことを意味すると評価した。
不動産開発会社(デベロッパー)の期待の土台が、事実上崩れているということでもある。着工判断の前提となってきた将来の不動産価格の上昇、金融レバレッジ、先行販売の回転率が、いずれも機能しにくくなった。加えて、足元の販売の相当部分も在庫の値引き販売や既存プロジェクトの消化によるものだとみられている。
中国の販売・着工比率は2003年から2014年にかけ、平均で110%以上を維持していた。過熱の兆しとともに在庫が積み上がると、当局が在庫解消策を打ち出し、2015〜2017年は84%台まで低下した。在庫がはけた2018〜2020年には、3年連続で再び100%を上回った。
その後、下落が本格化し、2022年に76.9%となったのを皮切りに、2023年は73.1%、2024年は65.9%へと下がり、今年は50%台に入った。
在庫の多さも懸念材料だ。上海易居不動産研究院によると、11月時点で全国100都市の新築商品住宅の消化期間は27.4か月に達し、適正範囲とされる12〜14か月を大きく上回った。在庫がそれだけ積み上がっていることになる。克而瑞(CRIC)グループの丁祖昱会長は、現在の不動産市場について「在庫を消化し、価格への信頼を再構築する局面にある」との認識を示した。
所得見通しの鈍化こそが、今回の落ち込みの根本要因だとする見方もある。国信証券は報告書で、各種の景気刺激策にもかかわらず不動産市場が低迷から抜け出せないのは、所得の伸びが鈍り、住宅価格を負担できなくなるとの不安が広がっているためだと分析した。
韓国では、たとえ期待所得が伸びなくても、土地不足や許認可の遅れ、再建築規制などの要因が重なれば「所得は伸びなくても住宅は希少になる」との心理が生まれ、買いが先行する局面もあり得る。ただ、中国では同様の構図が成り立ちにくいとの指摘がある。
こうした中、習近平国家主席は16日、共産党の政策理論誌『求是』に掲載した文章で、国民所得が安定してこそ将来不安が和らぎ、消費につながるとの考えを示した。そのうえで、△雇用の促進△社会保障制度の改善△所得分配構造の最適化△中間層の拡大などを進める必要があると強調した。















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