検察「善悪の判断が可能な40代」強調
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への「恨み」を犯行動機として供述している、安倍晋三元首相銃撃事件の被告・山上徹也被告(45)に対し、検察は無期懲役を求刑した。
検察は18日、奈良地方裁判所で開かれた国民参与裁判で、殺人罪などで起訴されている山上被告に無期懲役を求めた。山上被告は2022年7月、参議院選挙の応援演説中だった安倍元首相を手製銃で撃ち、殺害したとして起訴されている。
事件発生から3年余りを経て開かれた今回の裁判では、統一教会を巡る高額献金問題が大きな争点となった。山上被告は、母親による多額の献金が原因で兄が自殺に追い込まれたと主張し、その後、教団に対する怒りが次第に強まっていったと述べている。弁護側は、こうした生い立ちは宗教に起因する虐待に当たるとして、情状酌量を求めてきた。
一方、検察側は、犯行の対象を当初の教団幹部から安倍元首相へと変更された経緯について「最後まで納得できる説明が示されておらず、論理的な飛躍がある」と指摘した。その上で、犯行には高い計画性が認められるほか、事件当時、周辺にいた一般市民にも重大な危険が及ぶ可能性があった点を強調した。
検察側は、山上被告の生い立ちについて「不遇な面があったことは否定できない」と認めた上で「善悪を判断できる40代の社会人であり、その生い立ちが今回の事件と直接的に結び付くものではない」として、責任能力との間に明確な線引きを示した。
またこの日の公判では、安倍元首相の妻である昭恵氏が意見陳述を行った。昭恵氏は弁護士を通じ「突然夫を失った喪失感は一生消えることはない」と心境を述べた。1審判決は、来年1月21日に言い渡される。
















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