アメリカで232年間続いてきた1セント硬貨の生産が、ドナルド・トランプ大統領の指示により完全に中止される中、最後に鋳造された硬貨がオークションで天文学的な価格で落札され、話題となっている。
12月16日(現地時間)、カリフォルニア州のオークション会社スタックス・バワーズ・ギャラリーズは、12日に最後に製造された流通用1セント硬貨232枚セットが、総額1676万ドル(約26億1,020万円)で落札されたと発表した。「ABCオーストラリア」など現地メディアが報じている。

オークションに出品された1セント硬貨のセットは、11月にフィラデルフィア造幣局で発行された通常の1セント硬貨に加え、純金製の1セント硬貨、デンバー造幣局で製造された1セント硬貨の計3種類で構成されていた。各硬貨には、最終生産分であることを示す「OMEGA(Ω)」のマークが浮き彫りにされ、希少性を高めている。
セットごとの平均落札価格は7万2000ドル(約1,121万円)を超え、特に最後の232番セットは80万ドル(約1億2,460万円)という最高額で落札された。
トランプ大統領は2月、製造コストが額面価値を上回ることを理由に、米財務長官に対し1セント硬貨の新規生産中止を指示した。これを受け、11月12日にフィラデルフィア造幣局での最終生産をもって、米国内における1セント硬貨の製造は完全に終了した。
米財務省の分析によると、1セント硬貨1枚あたりの製造コストは1.69セントで、額面の約1.69倍に相当する。
生産中止による年間のコスト削減効果は、5600万ドル(約87億2,227万円)に達する見込みだ。
1793年の初発行以来、232年間にわたって続いてきた1セント硬貨の生産は中止されたが、すでに発行された硬貨は今後も法定通貨としての効力を保つ。
財務省によると現在、市中には約3000億枚の1セント硬貨が流通していると推計されている。
一般流通向けの1セント硬貨の製造は完全に終了した一方、収集用の1セント硬貨については、今後も限定的に製造される予定だ。

















コメント0