
ドナルド・トランプ米政権2期目の国政運営の青写真を示してきた保守系有力シンクタンク、ヘリテージ財団で中枢人材の大量離脱が起きる見通しとなった。トランプ大統領の支持率低下や、来年の中間選挙で与党・共和党が苦戦するとの見方が広がる中、強固な支持基盤とされてきた「MAGA(アメリカを再び偉大に)」陣営の分裂が一段と深まっているとの分析が出ている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やワシントン・ポストなどによると、ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は21日、職員宛てのメールで「法務・経済センターの職員の大半が即時退職する予定だ」と明らかにしたという。法・司法研究センターのジョン・マルコム所長を含む主要政策部門3部局の責任者ら15人以上が、別の保守系シンクタンクであるアメリカ自由促進(AAF)へ移るとされる。WSJはロナルド・レーガン政権で司法長官を務めたヘリテージ財団の重鎮、エドウィン・ミース3世名誉研究員が今回の移籍ラッシュを支持していると伝えた。
AAFはトランプ政権1期目で副大統領を務めたマイク・ペンス氏が2021年に設立した。トランプ大統領と距離を置く一部の保守層から支持を集めている。ペンス氏は2020年大統領選の敗北を否定したトランプ大統領の主張に公然と異を唱え、以降は対立関係にある。ペンス氏はXで「原則を重んじる保守主義の研究者を迎え入れられることを誇りに思う」と投稿した。
保守陣営で強い影響力を持つヘリテージ財団は、トランプ政権2期目の構想を示した政策文書「プロジェクト2025」の多くが採用されるなど、存在感を高めてきた。一方で、最近は反ユダヤ主義を巡る論争や政策路線の対立から内紛が表面化している。特に、トランプ大統領の熱烈な支持者でもあるロバーツ会長が、保守系論客のタッカー・カールソン氏を擁護したことで対立が激化した。カールソン氏は最近のポッドキャストで、反ユダヤ的な白人至上主義者と評されるニック・フエンテス氏にインタビューし、物議を醸していた。
米政界では今回の人材流出がMAGA陣営の分裂が表面化する中で起きた点に注目が集まっている。MAGAの代表的論者らは18日から21日に米アリゾナ州フェニックスで開かれた保守系イベント「アメリカフェスト2025」で、親イスラエル外交や反ユダヤ主義を巡り、激しい言葉や嘲笑、相互批判を繰り広げた。ワシントン・ポストは「トランプ時代に入り、ヘリテージ財団をはじめとする保守団体はMAGAの民族主義、孤立主義、経済的ポピュリズムを擁護する方向へと変質してきた」と分析している。













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