台湾侵攻にとどまらず米本土威嚇のシナリオまで 中国国営テレビが異例公開

中国人民解放軍が、米国の目と鼻の先にあたるメキシコ湾やカリブ海を想定戦域とした仮想戦闘訓練を実施する様子が、24日に中国国営テレビで異例にも公開された。
香港メディアの「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、映像には中国・河南省で実施された人民解放軍のウォーゲームの模様が収められていた。
作戦図では、中国軍を示す赤色の部隊がカリブ海周辺に展開し、敵軍を示す青色の部隊が米テキサス州ヒューストン近郊に集結した後、メキシコ湾へ南下する想定が描かれていた。中国が自国から遠く離れた西半球で、米軍と直接対峙する事態を具体的に想定していることを示す内容と受け止められている。
今回の映像公開を受け、中国が中南米地域を単なる経済協力の相手ではなく、将来的な軍事作戦の舞台として位置付けているとの見方が強まっている。
中国は過去20年にわたり、ブラジルやペルーなど中南米諸国と経済関係を深め、影響力を拡大してきた。こうした経済的浸透を背景に、港湾や宇宙関連施設など、軍事転用が可能な二重用途のインフラを確保し、台湾有事の際に米軍戦力を分散させる狙いがあるとみられている。
実際、中国は今月公表した第3次中南米政策白書で、安全保障や法執行分野を含む包括的な協力関係の強化を打ち出した。経済支援をてこに中南米諸国を取り込み、台湾との外交関係を断たせるだけでなく、軍事面での連携拡大も視野に入れている姿勢を鮮明にした。
専門家の間では、中国が台湾侵攻に踏み切った場合、米軍の介入を阻止、あるいは遅らせるため、世界の別地域で同時多発的に緊張を高める可能性が指摘されてきた。
今回のメキシコ湾を想定した仮想訓練は、中国が太平洋正面に限らず、大西洋側でも米軍を牽制し、第2の戦線を形成し得ることを示唆する事例と受け止められている。
一方、公開された映像には、ロシア極東沿岸やオホーツク海の係争地域である千島列島周辺を想定した戦闘シナリオや、台湾を中心に据えた作戦図も含まれていた。
さらに、番組内では中国の主力戦闘機J-16が8機、フランス製ラファール戦闘機が8機参加する模擬空中戦の場面も放映され、中国軍の対外作戦能力を誇示する構成となっていた。
















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