
中国の最新鋭軍艦が台湾周辺海域で外国の航空機に対し警告目的の電子戦弾を発射する様子が初めて公式に公開された。
中国中央テレビ(CCTV)は先月29日、軍事番組を通じて排水量約1万トン級の055型駆逐艦の海上戦力を誇示した。特に1月、055型の南昌艦(艦番号101)、拉薩艦(102)、鞍山艦(103)、無錫艦(104)などが出航したことが明らかにされた。
この過程で延安艦(106)が台湾周辺で外国航空機に対し、警告目的の電子戦弾を発射する場面が異例にも公開された。
当時、複数の外国航空機が繰り返し進路を変更しながら飛行していたとみられ、延安艦は探知範囲を広げるためレーダーを高出力モードに切り替え、積極的・消極的な電子妨害を行ったとされる。

香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は延安艦の要請を受けた中国空母「山東」が、周辺に他の外国航空機が存在するか確認するため軍用機3機を発進させ、延安艦は計4発のジャミング弾を発射したと報じた。単艦行動ではなく艦隊単位での運用だったという。
CCTVはまた、別の055型駆逐艦である南昌艦が空母「遼寧」と公海上で訓練を行う過程で、外国船舶2隻に警告を行った事例も紹介した。中国空母打撃群を突破しようとした外国船に対し、南昌艦が進路を変更し続けて衝突を回避したとされる。
SCMPはこうした動きの背景として、米国が最近、台湾向けの大規模な武器売却を承認したことや、高市早苗首相による「台湾有事への介入」を示唆する発言をめぐり、中国との間で摩擦が生じている点を挙げている。
最新鋭駆逐艦による警告行動とCCTVが関連映像を公開したことは、こうした地域情勢を踏まえた示威行動との見方が出ている。

CCTVが公開した映像を総合すると、外国航空機が進路変更を繰り返す中、延安艦は探知範囲を拡大し、ジャミング弾で対抗した様子が確認できる。
電子戦弾は直接攻撃を伴わず煙幕や欺瞞効果によって状況認識(識別・追跡)や目標設定を妨げる、典型的なグレーゾーン手段とされる。
中国がこの場面を公開したのは、台湾周辺での接近・偵察・監視活動を、より複雑かつ危険なものにする意図を示すメッセージと受け止められている。
すなわち、接近時の摩擦や不確実性を高めることで、追跡や目標化の難度を引き上げ、結果として相手側の作戦負担、接近コストを増大させる狙いがあるとの評価だ。
米国・日本を意識した「介入抑止」のシグナル
SCMPはCCTVが055型駆逐艦の運用映像を公開した背景として、米国による台湾向け武器売却の承認や高市首相による台湾有事関連発言を併せて指摘した。
今回の映像が台湾にとどまらず、地域への介入主体そのものを意識したメッセージである可能性を示唆している。
特に、中国が電子戦能力の運用を強調した点は、米国や日本の偵察・接近活動だけでなく有事の介入過程において作戦環境を不利にし得るとの信号と読み取れる。
単純な「阻止」ではなく、グレーゾーン段階から摩擦と不確実性を蓄積させ、介入コストを引き上げる抑止効果を狙ったとの見方もある。
「システムの戦争」能力の誇示
映像では「現代の海戦は艦艇1隻の性能を試すものではなく、すべての運用システムを同時に試すものだ」との趣旨の説明が盛り込まれている。
この点は055型駆逐艦を単一プラットフォームとしてではなく、艦隊単位の統合運用能力を前面に押し出す意図と受け止められる。
空母打撃群との連動、目標識別、センサー運用の切り替え、電子的対応へと続く編集構成は艦の個別性能を超え、作戦体系全体と運用の成熟度を強調するものといえる。
CCTVは映像の中で対応時刻や具体的な位置、相手航空機の国籍や発進地といった核心的な情報を明らかにしていない。
こうした限定的な情報公開は、相手側による行動パターン分析を難しくする一方、類似事態が再現され得るとの不確実性を高める「曖昧性管理」として解釈される余地がある。

中国は055型駆逐艦の電子戦映像公開に続き、中国海警局の広報映像を通じて日本と領有権を争う尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺での海警船による巡視の様子も初めて公開した。
台湾問題を巡り日中間の緊張が高まる中で、こうした映像を相次いで公開したことは全面衝突の一歩手前で存在感を積み重ねるグレーゾーン圧力の延長線上とみられる。
グレーゾーン戦術とは法執行や情報戦、機動阻止など、非戦争手段を通じて相手の行動範囲を狭める強圧的行為を指している。
問題はこうした低強度の摩擦が繰り返されることで、電子戦や近接警告、機動阻止といった物理的衝突直前の段階が常態化しかねない点にある。相互のシグナルが「攻撃の兆候」と誤認される局面では、偶発的な判断ミスが生じ、緊張が意図せず拡大する可能性も否定できない。














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