
米国のドナルド・トランプ大統領の強硬な関税政策が実施された初年度も、米国の貿易赤字は事実上縮小しなかったことが分かった。関税を前面に出した通商圧力は貿易構造に変化をもたらしたものの、年間ベースでの収支改善効果は限定的だったとの評価が出ている。
19日(現地時間)、米国商務省によると、2025年の米国の貿易赤字は計9,015億ドル(約139兆9,100億円)だった。前年からの減少幅は21億ドル(約3,260億円)で0.2%にとどまり、関税政策実施前の2024年の9,035億ドル(約140兆2,150億円)と比べてもほぼ差がない水準だ。過去最大の赤字を記録した2022年の9,237億ドル(約143兆3,500億円)と比べても有意な縮小とは言い難いとの指摘がある。
年間では横ばいだったが、月次の動きは関税政策を巡る不透明感に大きく左右された。2024年11月の大統領選後、企業が関税発動を懸念して輸入を前倒ししたことで、2025年1月から3月の貿易赤字は過去最高水準に拡大した。その後、4月の大規模な相互関税発表を受けて赤字幅は急減したが、一部関税の撤回や交渉妥結が続く中、下半期には再び例年並みの水準へ戻った。関税を巡る不確実性が緩和した12月の貿易赤字は703億ドル(約10兆9,100億円)で2023年の月平均45億ドル(約7,000億円)を上回った。

関税の直接対象である輸入は逆に過去最大を記録した。2025年の米国の総輸入額は4兆3,338億ドル(約672兆7,921億円)で前年比4.8%増加し、このう商品輸入は3兆4,384億ドル(約533兆7,806億円)で過去最高を更新した。財部門の貿易赤字は1兆2,409億ドル(約192兆5,500億円)と前年比2.1%拡大した。サービス部門の黒字では相殺しきれず全体の収支改善にはつながらなかった。
貿易相手国別では明確な変化が見られた。対中貿易赤字は2,021億ドル(約31兆3,600億円)と前年比934億ドル(約14兆5,000億円)減少し、2004年以降で最低水準を記録した。一方、欧州連合(EU)との貿易赤字は2,188億ドル(約33兆9,600億円)と初めて対中赤字を上回った。メキシコ・1,969億ドル(約30兆5,600億円)、ベトナム・1,782億ドル(約27兆6,600億円)、台湾・1,468億ドル(約22兆7,800億円)との赤字もそれぞれ過去最大に拡大した。中国からの輸入減少分が他国に分散した結果との見方が出ている。
AIデータセンター投資の拡大に伴い、半導体など電子製品への関税が本格化していないことも、台湾などに対する赤字拡大に影響したとの分析がある。
一方で、関税政策の効果を断定するのは尚早との慎重論もある。オックスフォード・エコノミクスのバーナード・ヤロス氏はニューヨーク・タイムズに対し「トランプ政権の貿易政策がどのような持続的影響をもたらすかを判断するには、まだ時間が必要だ」と指摘し「今年初めの在庫積み増し効果が消えた後、輸入がどの水準で安定するかが焦点になる」と述べた。
















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