
米国のピート・ヘグセス国防長官が、AI企業アンソロピックに対し、国防総省の要求に従わなければ契約解除などの強制措置に直面し得ると警告した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ヘグセス長官は24日(現地時間)午前、国防総省でアンソロピックCEOのダリオ・アモデイ氏と会談し、米東部時間の27日午後5時1分を期限として提示したという。
ヘグセス長官は、アンソロピックが米軍との協業でより柔軟性を示さない場合、同社を「サプライチェーン上のリスク企業」に指定するか、国防生産法(DPA)を適用し、国防総省(ペンタゴン)とより協力的に業務を行うよう強制する可能性があると通告したとされる。
リスク企業に指定された場合、国防総省と取引する全ての契約先・サプライヤーは、米軍との協業業務でアンソロピックのAIモデル「クロード」を使用できなくなる。通常は中国など敵対国に関連する外国企業に用いられる措置とされ、自国企業を指定する例はほとんど前例がないという。
国防生産法も、主に国家的な緊急時にエネルギーや保健医療などの必需分野を中心に運用されてきた経緯があり、テック企業に同法を適用することも極めて異例とみられる。
国防総省とアンソロピックは、AIの軍事利用の範囲を巡って対立してきた。国防総省は、アンソロピックのAIモデルを「合法なあらゆる用途」に制限なく使えるべきだという立場を取る一方、アンソロピックは、米国民を対象とする大規模監視や完全自律兵器には自社モデルを使うべきではないとして反対している。
今回の会談でも、ヘグセス長官は、米軍が全ての合法的用途でアンソロピックのAIモデルを活用できるよう許可することを求めたとされる。これに対しアモデイCEOは、会社側が引けない一線を守ってもペンタゴンの作戦に支障は生じないと主張したという。
最終的に、双方は溝を埋められないまま会談を終えたと、事情を知る関係者が同紙に語った。
同紙は、今回の対立はAI産業にとって重要な局面になり得ると指摘した。アンソロピックは、米軍の機密システムでの利用承認を得た唯一のAIモデル開発企業だったが、国防総省がこの対立を機に他社にも門戸を開き始めているためだとしている。
実際、国防総省は最近、xAIのAIモデル「グロック」を機密システムで利用する契約を結んだと、国防総省関係者が米メディアに明らかにした。xAIは、合法な用途であれば軍事利用にも同意したと伝えられている。
また、米国のトランプ政権が、ロシアのバイデン政権の高官経験者を採用し、進歩派の支援者とも関係を築いてきたアンソロピックに懐疑的だとの見方もある。いわゆる「ウォーク」なAIに対する一部政権関係者の攻撃は、実際にはアンソロピックを念頭に置いたものだという指摘も出ている。
ただ、AI分野の専門家の間では、国防総省がアンソロピックとの関係を断てば、トランプ政権が掲げる国家安全保障と技術面の目標達成が難しくなる可能性があるとの警戒もある。
トランプ政権でAI顧問を務めたディーン・ボール氏は同紙に対し、ヘグセス長官の脅しは筋が通っていないと述べ、リスク企業指定と国防生産法の適用は矛盾した政策対応だと指摘した。
さらに、国防総省が代替案として前面に出している「グロック」については、不正確さや人種差別的な内容を巡って物議を醸したことが弱点になり得るとも言及された。
米オンライン政治メディアのアクシオスに対し、国防総省のある関係者は、アンソロピックの「クロード」を完全に排除して代替するのは極めて難しい手続きになるとの見通しを示した。
















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