ロシアと関係を深めてきたインドの判断に注目が集まっている

ウクライナ戦争以降、米国など西側諸国の圧力にもかかわらず、ロシア産原油の輸入を拡大してきたインドが、最近になってロシア産液化天然ガス(LNG)の購入を拒否したことが分かった。
ロイター通信が11日に報じたところによると、インドは先月30日、自国を訪問したパベル・ソロキン露エネルギー次官に対し、LNG購入を拒否する意向を伝えた。
ソロキン次官は当時、ロシア産LNGの輸出に向けてインド側と2回目の交渉を進めており、協議にはハルディープ・シン・プリ印石油・天然ガス相も出席した。
インド側が購入を拒否したことで、ロシア北西部のポルトバヤLNG工場から先月中旬にインドへ向かう予定だったLNG運搬船は足止めされている。
インドがロシア産LNGを拒否した背景には、米国とロシアの間でバランスを取ろうとする思惑があるとみられる。インドはこれまで、米国による一時的な制裁緩和などを背景にロシア産原油を購入してきた。
特に、米国・イスラエルとイランの戦争でホルムズ海峡が封鎖され、原油などのエネルギー価格が急騰する中、インドの今回の判断は、米国とロシアをめぐる各国の利害関係が変化していることを示す動きとの見方も出ている。
今回、インドが購入を拒んだロシア産LNGの生産拠点はポルトバヤLNGで、今年1月に米国の制裁対象に指定された施設だ。つまり、単なるロシア産LNGではなく、米財務省が明確に制裁対象としているLNGということになる。
インドが米国の制裁を無視してロシア産LNGを輸入すれば、一部のインド企業はドル決済や海上保険、銀行取引などで、米国の二次制裁を受けるリスクがある。

さらに、ロシア産LNGは原油よりも制裁を回避するのが難しい。
一般的にロシア産原油は、船舶間の積み替えや第三国経由、書類変更などによって出所を隠すことが可能だとされる。一方、LNGは特殊な冷却施設や専用ターミナルが必要で、航路の追跡も容易なため、出所を隠すことが難しい。
そのためインドは、原油は迂回輸入できてもLNGでは難しいと判断し、米国との関係を考慮してロシア産LNGを拒否したとみられる。
インドの判断は、イラン戦争によってエネルギー供給網が不安定になる中での苦肉の策とも受け止められている。
インドはイラン戦争が始まる前、国内のガス消費量の半分を輸入で賄っていた。輸入量の約60%がホルムズ海峡を通過し、原油輸入量の半分以上も同じ海峡を経由していた。
しかし、ホルムズ海峡が封鎖され、エネルギー価格が急騰すると、ナレンドラ・モディ印首相は10日、燃料節約や在宅勤務などに言及し、エネルギー危機を乗り越えるため国民に協力を呼びかけた。
ロシアとインドは、これまで強い関係を維持してきた。2022年2月にロシアがウクライナへ侵攻して以降、西側諸国はロシアの原油、金融、海運に対する制裁を始めた。販路を失ったロシアは原油を国際価格より大幅に安く販売し、中国とインドが大量に購入した。
実際、2021年時点でインドのロシア産原油の比率は1〜3%にすぎなかった。しかし開戦から2年後の2024年には、インドの原油輸入の35〜40%がロシア産だったと推定されている。
米国など西側諸国は、インドが対ロ制裁に加わっていないと批判してきた。これに対し、モディ首相は「14億人のエネルギーの安定のため、最も安い原油を買っている」と反論した。
一部では、インドがロシアの戦争経済を支えているとの指摘も出ていた。それでもモディ首相とウラジーミル・プーチン露大統領は複数回にわたり首脳会談を行い、エネルギー協力と原油供給の安定を維持してきた。
特に2024年7月、モディ首相が5年ぶりにモスクワを訪れ、プーチン大統領と抱擁する場面は国際的に注目を集めた。その後、ロシア国営企業がインドの民間製油所に1日約60万バレル規模の原油を供給する契約を結ぶなど、大型契約が相次いだ。
これまで米国とロシアの間で「綱渡り外交」を続けてきたインドの今回の判断が、ロシアの戦争遂行能力にどのような影響を与えるのか注目されている。













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