5月の製造業PMIは54.5、0.6ポイント低下…供給網の混乱と物価負担が拡大

製造業景気は5月も拡大を維持したものの、成長の勢いはやや鈍化した。中東情勢の悪化に伴うサプライチェーンの混乱懸念を背景に、企業が在庫確保に動いたことで生産や購買活動は拡大した一方、原材料価格や物流費の上昇によりコスト負担は一段と増している。
トレーディング・エコノミクスやインベスティング・ドットコム、ヤフージャパンによると、2026年5月のS&Pグローバル製造業購買担当者景気指数(PMI確定値)は54.5で、前月比0.6ポイント低下した。速報値と同水準だった。
それでも、景気拡大と景気縮小の分岐点である50を5カ月連続で上回った。4月のPMIは55.1で、2022年1月以来51カ月ぶりの高水準を記録していた。
S&Pグローバルは、5月の製造業生産は4月の12年ぶり高水準からは減速したものの、長期平均を大きく上回る強い基調を維持していると分析した。
生産拡大の背景には、販売増加に加え在庫の積み増しがある。企業は中東情勢の悪化によるサプライチェーンの混乱や原材料不足の可能性が高まる中、在庫の事前確保に注力した。
新規受注は堅調な増加を続けたものの、伸び幅は前月よりやや鈍化した。企業は、顧客が供給網の混乱に備え、安全在庫確保の観点から発注を増やしていると説明している。
海外需要は一段と強まり、新規輸出受注は5年ぶりの高い伸びを示した。一方で、海外からの受注増にもかかわらず、全体の新規受注増加率は前月比でわずかに減速した。
企業は今後の資材不足や供給業者の値上げに備え、購買活動も拡大した。購買量の増加率は4年ぶりの高水準となった。
一方で供給網の状況は悪化した。仕入れ品の納期遅延は引き続き増加し、新型コロナウイルス感染症のパンデミック期を除けば最も遅い水準となった。多くの企業は、中東戦争が供給網に与える影響を主な要因として挙げている。
原材料調達の難しさも続き、在庫の積み増しには一定の制約が生じた。仕入れ在庫は4月に続き5月もやや増加したが、完成品在庫は受注消化に伴い減少した。
生産拡大に対応するため雇用も増加し、製造業の雇用は堅調な伸びを維持した。その増加幅は直近4年余りで2番目の高水準に拡大している。
ただし受注残が急速に増加する中で、生産能力への負荷は高まった。新規受注の増加と資材不足が重なり、企業の生産余力は引き続き圧迫されている。
コスト上昇圧力も一段と強まった。平均投入価格の上昇率は2022年9月以来の高水準となり、企業は金属や石油関連の原材料価格の急騰を主因に挙げたほか、人件費や輸送費の上昇もコスト負担を押し上げていると述べた。
企業は増加したコストを販売価格に転嫁した。その結果、平均販売価格の上昇率は2022年10月以来の最高水準となった。
今後の生産見通しに対する企業心理は、4月の1年ぶりの低水準からやや回復したものの、依然として長期平均には達していない。
企業は、消費需要の拡大や新製品開発、電子産業をはじめとする主要産業の成長に期待を寄せている。一方で、地政学的な不確実性やコストの急騰、世界経済の減速懸念は、今後数カ月の製造業景気を制約するリスク要因として指摘された。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスは「5月の製造業PMIで、生産と新規受注が調査史上高水準の伸びを維持し、製造業が堅調な成長トレンドを続けていることが示された」と評価した。
また、製造業者と顧客が中東戦争による製品不足や価格上昇リスクに備えて在庫を積み増したことが、成長を支えていると説明した。
一方で、企業がAIや電子産業の成長に期待を寄せる一方、急激なコスト上昇や世界経済の減速が今後の製造業の重荷となる可能性があると付け加えた。















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