
米下院行政管理室は24日、セキュリティ上のリスクが高いとして、政府職員に支給された端末でメタ傘下のメッセンジャーアプリ「WhatsApp」の使用を全面的に禁止した。
ロイター通信によると、米下院サイバーセキュリティ室は公式メモを通じ、WhatsAppについて「ユーザーデータ保護に関する透明性が不足している。さらに、保存データに対する暗号化措置が施されておらず、全般的にセキュリティリスクが非常に高いアプリと分類する」と厳しく指摘した。
これに伴い下院職員に対しては、WhatsAppの代替手段としてシグナル、iMessage、フェイスタイム、マイクロソフトチームズなどの使用を推奨している。
今回の決定は、メタが今年1月、イスラエルのスパイウェア企業パラゴンソリューションズによるハッキング試行を検知し、ジャーナリストを含む約90人のWhatsAppユーザーへの攻撃を防いだと発表した後のタイミングで下された。

また、今年5月に公開された報告書によれば、オーストラリア、カナダ、キプロス、デンマーク、イスラエル、シンガポールなど複数の政府がパラゴンソリューションズの顧客である可能性が高いと指摘されており、WhatsAppを巡るセキュリティ懸念が世界的に高まっていた。これに対しメタ側は下院の決定に猛反発している。
メタの広報担当者は「WhatsAppのメッセージは基本的にエンドツーエンドで暗号化されているため、運営する我々でさえ内容を閲覧することは不可能だ」と反論。「むしろ、下院が推奨しているアプリの多くが備えていない高度なセキュリティ機能を提供している」と強調している。
米議会における今回のWhatsApp使用禁止措置は、政府支給機器のセキュリティ強化策の一環であり、民間企業のサービス利用に関して透明性と信頼性の基準がますます厳格化されている状況を浮き彫りにした。
WhatsAppが排除されたことで米議会職員の通信手段が大きく変化する可能性があり、今後、他の公的機関や企業が追随する動きが広がるかどうかも注目されている。
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