
イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースXが、AI分野にも本格参入する。同社はマスク氏が創業したAI企業「xAI」に対し、20億ドル(約2,949億円)という巨額の投資を決定した。12日(現地時間)、米『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じた。
今回の投資は総額50億ドル(約7,372億円)規模の資金調達ラウンドの一環で、xAIとソーシャルメディア企業X(旧Twitter)との統合を加速させる狙いがある。この統合により、両社の合併後の企業価値は約1,130億ドル(約16兆6,624億円)にも達する見込みだ。
特に注目されているのは、xAIが開発したAIチャットボット「グロック」だ。このグロックはすでにスペースXが提供する衛星インターネットサービス「スターリンク」の顧客対応システムに導入されており、ユーザー対応の自動化や利便性向上に役立っている。さらに今後、テスラが開発を進める人型ロボット「オプティマス」にも搭載される可能性が浮上しており、実現すれば人々の生活に大きな影響を与えることになる。

また、マスク氏は記者から「テスラもxAIに投資する可能性はあるか」との問いに、「そうなれば理想的だが、テスラの取締役会や株主の承認が必要だ」と答え、さらなる連携の可能性を示唆した。
一方、グロックをめぐっては最近、その回答内容が過激すぎるとして論争も起きている。しかしマスク氏はこの批判を意に介さず、「グロックは世界一賢いAIだ」と自信を見せた。
xAIは現在、OpenAIやGoogle DeepMindなどの先行する競合企業を追撃するため、モデル訓練や設備投資に莫大な資金を注ぎ込んでいる。マスク氏が率いるスペースXによる巨額投資は、この競争をさらに激化させることになるだろう。
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