
上場企業の冬のボーナスが今年、史上初めて1人当たり100万円の大台を突破した。建設や防衛産業関連が全体を牽引した一方、米国の関税政策の影響を受けた自動車や鉄鋼業は相対的に伸び悩む形となった。
「日本経済新聞」が12月15日に発表した、上場企業を中心とする478社を対象とした「2025年冬のボーナス調査」の結果によると、1人当たりの支給額(加重平均)は前年比6.40%増の102万9,808円に達した。これは調査開始以来、初めて100万円を超えた数値であり、3年連続で過去最高を更新している。
ボーナスの支給額は5年連続で増加しており、増加率も昨冬(3.68%)を2.72ポイント上回った。企業が支給額を引き上げた理由については、「賃金水準の上昇」が59.5%で最多となり、「前期業績の好調」が42.1%で続いている。これは、2025年の「春闘(春季労使交渉)」において平均5%を超える賃上げが行われた影響とみられる。支給額が100万円を超える企業は全体の約30%に当たる138社に上っている。
業種別では非製造業が前年比9.74%増と、製造業(4.99%増)を大きく上回った。特に深刻な人手不足が続く建設業は17.31%増、高級住宅分譲やホテル事業が好調な不動産・住宅業も13.81%増を記録している。鉄道・バス業もインバウンド需要の拡大に支えられ、10.55%増加した。
防衛産業や航空エンジン事業が好調な造船・重工業は20.31%の大幅増となった。IHIは43.92%増の123万8,308円と過去最高水準のボーナスを支給する予定だ。川崎重工業も業績改善を背景に、41.57%増の112万2,912円を設定している。一方、米国の関税政策の影響で輸出比率の高い自動車・部品は3.28%増にとどまり、相対的に低い成長率となった。
ただし、物価上昇が続く中でボーナスの増加が消費回復に直結するかは、依然として不透明な情勢だ。厚生労働省によると、物価変動を反映した実質賃金は10月時点で前年同月比0.7%減となり、10カ月連続でマイナスを記録している。















コメント0