
欧州の主要防衛産業グループは今年、記録的な利益を上げ、株主に対して50億ドル(約7,800億円)に迫る利益を還元する見通しであることが29日、英紙「フィナンシャル・タイムズ(FT)」の報道で明らかになった。
ウクライナ侵攻が4年目に入る中、世界的に国防費支出が急増したことが背景にあり、欧州の防衛企業は株主還元と設備投資の拡大を並行して強力に進めている。今回の株主還元は、自社株買いよりも配当金が圧倒的に多い形で行われており、支払総額は過去10年で最大規模となった点が注目されている。
調査対象となった欧州の防衛企業は、民間航空事業の比重が高いエアバスを除き、BAEシステムズ、タレス、ダッソー・アビアシオン、ラインメタル、レオナルド、バブコック、サーブ、ヘンソルトの8社である。
欧州の防衛産業は、大規模な株主還元に加え、ロシアによるウクライナ全面侵攻以降、生産能力増強のための投資も大幅に拡大してきた。こうした供給体制の強化が、収益のさらなる伸長に寄与したとみられる。
一方で、米国の主要防衛企業は2023年に株主還元がピークに達した後、今年は減少したとFTは指摘している。調査対象となった米国の防衛企業は、ロッキード・マーティン、ゼネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマン、RTX、L3ハリス・テクノロジーズ、ハンティントン・インガルス・インダストリーズの6社である。米国企業は株主利益だけでなく、売上高に対する資本支出や自社負担の研究開発費(IR&D)の投資規模も減少傾向にある。なお、ボーイングは民間航空事業の不振などにより調査から除外された。
具体的な数値で見ると、欧州8社の防衛グループによる株主還元は、自社株買いが10億ドル(約1,560億円)、配当金が40億ドル(約6,240億円)であった。対する米国6社は、2023年に310億ドル(約4兆8,360億円)であった株主利益還元が、今年は180億ドル(約2兆8,080億円)に大幅に減少した。このうち配当金は100億ドル(約1兆5,600億円)程度であった。絶対的な規模では依然として米国企業が大きく上回っているものの、成長性と還元姿勢においては欧州勢の勢いが鮮明となっている。
















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