
ロシアと北朝鮮の軍事協力が加速する中、北朝鮮の従来型戦力の脆弱さと制度的ゆがみが各所で露呈している。為替と米価が前年の3倍に跳ね上がる深刻な経済失速のさなかで、金正恩総書記が新型戦力を次々と押し進めた結果、その無理な指示が事故と内部亀裂として表面化している。
最も象徴的なのが、清津造船所で発生した5,000トン級駆逐艦「姜健(カン・ゴン)」の重大事故である。横進水の過程で艦首が地面に引っかかり、そのまま艦体が海中に沈むという致命的な座礁を起こした。浸水と構造応力が重なり、実質的に廃棄同然の損傷が蓄積されたにもかかわらず、金総書記は3週間以内の復元を強要。技術者の死亡まで招いた無理な復旧作業の末、外観だけを整えた再進水の映像を演出した。内部装備は塩分による腐食で相当部分が機能喪失している可能性が高い。

問題は、この模倣優先の歪んだ構造が北朝鮮軍全体に拡散している点である。北朝鮮はロシアの「アドミラル・ゴルシコフ級」を外形のみ模倣し、ヘリコプター格納庫に相当する区画へ無理やり垂直発射管(VLS)を押し込んだ。その結果、重心が不安定となり進水時の転覆リスクが顕著となった。「姜健」事故は、まさに設計能力を欠いた模倣兵器の限界を突きつけた形である。こうした類の艦艇は、実戦で潜水艦と遭遇した場合、致命的な弱点を抱えることになる。
軍の奇形化は海軍にとどまらない。金総書記は早期警戒統制機までも「自製」と主張したが、実態はロシアのA-50を模したIL-76にレーダードームを載せた程度に過ぎない。公開された空対空ミサイル試験映像も、肝心の長距離誘導能力は確認不可能である。ロシア技術が一部移転されたとの見方もあるが、核心的設計を提供されない構造は変わらず、北朝鮮が生み出す戦力は実効性より外形誇示型に傾いている。
さらに深刻なのは、人員と兵力への影響である。ロシアの長期戦負担を軽減するために派遣された北朝鮮軍は、すでに2万人規模に達したとの推計があり、追加3万人投入の可能性も指摘されている。犠牲が急増する中、金総書記は自ら棺に覆いをかける場面を演出したが、国内では「なぜ我々が他国の戦争に駆り出されるのか」との根本的疑問が広がっている。大義なき派兵は、体制の忠誠基盤を揺るがしかねない重大な火種である。
この動揺を覆い隠すため、金総書記が選んだのは再びの粛清である。地方工業政策の失敗は幹部の飲酒・不正行為にすり替えられ、駆逐艦事故の責任も造船所管理者に転嫁された。政策誤りを権力的処罰で覆う方式は、金日成・金正日時代の責任押し付け型粛清の再現であり、専門家組織を衰弱させ、システム全体をさらに崩壊へと向かわせている。その空白は忠誠競争によって埋められ、悪循環が増幅している。
表向き、北朝鮮は新型兵器公開やロ朝連携強化によって軍事力を高めているように見える。しかし実際には、無理な開発指示と技術的空白、兵力消耗、統制崩壊が同時進行しており、強硬姿勢の裏側で体制維持のための苦し紛れの措置が入り乱れている。現在の流れは、近い将来さらに大きな亀裂へつながり得る兆候を示している。














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