
東シナ海で続く中国の上陸準備行動は、日本周辺の安全保障環境を急速に不安定化させている。民間貨物船を装った中国船が沿岸へ接近し、車両や兵力を密かに積み降ろす様子が衛星で相次いで確認された。さらに、中国は港を必要としない浮遊式埠頭システムまで投入したとされ、単なる示威を超えた実戦的能力の構築が明白となっている。特殊バージ3隻を連結し全長850メートル級の簡易橋を展開する訓練も実施され、台湾側は「橋頭堡を瞬時に奪われ得る」と強い警戒感を示す。
台湾は通信遮断を避けるため、独自の低軌道衛星網の整備を急ぐ。一方で中国は、台湾上空に電子戦用無人機を大量散布し、衛星通信そのものを妨害する実験を進めている。作戦初期の混乱を狙った露骨な行動であり、日本としても無関係ではいられない情勢だ。
こうした中、日本は米国と協調し、中国の台湾接近そのものを阻止する「長距離飽和火力網」の構築に踏み出している。米海軍が射程1,600キロのトマホーク・ブロック5Aを大量配備し、多軸飽和による艦隊打撃能力を強化する中、日本も同ミサイルを400発導入し、F-35Aにはステルス対艦ミサイルJSMを搭載。いわば、日米が一体で抑止の基盤を整える形だ。

日本独自の戦力整備も本格化している。台湾に最も近い与那国・宮古・沖縄・奄美の列島線には最新型の地対艦ミサイル部隊を展開し、急機動TVCノズルを採用した12式改良型は迎撃を困難にする性能を持つ。これに加え、ASM-3Aや極超音速兵器HVGPが段階的に整備され、射程2,000〜3,000キロ級の多層的打撃圏が形成されつつある。中国側から見れば、日本列島そのものが“接近封鎖の火力壁”として立ち塞がる格好だ。
さらに注目されるのが、日本が開発するAI基盤のモジュール式長距離対艦ミサイルである。偵察・ジャミング・対艦・対地・貫通弾頭を先端モジュールで切り替える構造で、射程2,500キロ超を視野に入れている。偵察モジュールが中国艦隊の位置を捉え、ジャミングが敵防空を無力化し、最後に対艦・貫通弾頭が中枢を叩くという、日本独自の高精度・飽和型運用が想定される。
最終的に、日本・米国・台湾の連携は一つの戦略へと収束する。
すなわち、「中国艦隊が台湾に近づく瞬間を、数百発規模の長距離ミサイルと無人機で覆い尽くす防衛線」を構築することである。
専門家が「時間は中国の味方ではない」と語るゆえんもここにある。2030年代にはこの地域に配備される火力が中国の対処能力を上回る見通しで、中国が2027年以前に動く可能性が指摘されるのも同じ理由からだ。
韓国も長距離打撃資産や原潜導入を模索しており、東アジアの安全保障環境はかつてない速度で再編されている。日本としては、列島線が地域安定の要である以上、自国の防衛力強化こそ最も現実的な抑止策となる。














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