
米国の倉庫型ディスカウントストアであるコストコが米政府を相手取り、関税還付権の保障を求める訴訟を提起した中、コストコが持つ圧倒的な地位が強硬な対応を可能にしたとの分析が示されている。今年初め以降、多くの小売企業が関税を理由に値上げに動いたものの、実際に政府を提訴した小売企業はコストコが初めてである。
ワシントン・ポスト(WP)紙は7日(現地時間)、コストコが米国国際貿易裁判所(CIT)に対し、関税の全額返還と相互関税の停止を求めて提訴したことを取り上げ、同社が保有する業界内の地位と影響力が決定的な要因になったと分析した。コストコは先月28日、トランプ政権が課したすべての関税を無効とし、最高裁の判断が出るまでにすでに納めた関税を全額返還する企業としての権利を保障してほしいと請求訴訟を提起した。
企業の間では同様の動きが広がっている。▲ツナ缶食品業者バンブルビー・フーズ、▲オートバイ製造業者である川崎重工業、▲化粧品製造業者レブロンなど、70社以上が同じ時期に類似の訴訟を提起した。しかし小売企業は、ホワイトハウスとの摩擦や世論の変動を懸念し、踏み込んだ行動を控えてきたとみられている。
その一方で、コストコは安定した財務基盤と高い消費者信頼を武器に、強い姿勢を崩していない。コストコの地位は業績指標で確認されており、2025会計年度基準でコストコの純売上は前年比8%増の2,699億ドル(約42兆1,100億円)を記録した。11月の純売上は前年同期比8.1%増の236億ドル(約3兆6,800億円)であり、8月末基準でコストコの全世界会員数は前年比6%増の1億4,500万人を突破した。また、米国のコストコのメンバーシップ更新率は92.3%に迫る。
特に、単価競争力を高めたビジネスモデルが顧客獲得に大きく寄与したとみられている。大量購入を通じてコストパフォーマンスを確保した戦略が消費者に受け入れられ、インフレが長期化する中で中産階級と高所得層の消費者が流入し、忠実な顧客層が拡大したことが、同社の安定性を高める要因として挙げられる。実際に、先月のコストコ店舗再訪率は前年比3%増加したことが示されている。
また、品目ごとの価格調整で顧客離れを最小化したことも成功要因の一つとされている。コストコは全体売上の約3分の1が輸入品から出ており、関税の影響を最小限に抑えるために供給網を多様化し、品目別に価格を調整する政策を展開してきた。例えば、バナナなど会員の忠誠度が高い核心品目の価格は低く維持し、バラなど選択的消費財は価格をわずかに引き上げる方式である。
こうした強固な支持基盤を背景に、コストコは独自路線を歩んでいる。トランプ政権がDEI(多様性・公平性・包摂性)プログラムの廃止を圧迫していた時期にも、多数の業者とは異なり、既存プログラムを維持したことが代表的な例である。株価も成長傾向を示しており、最近5年間でコストコの株価は約140%急騰した。
D.A. Davidson & Co.のマイケル・ベイカーアナリストは「関税で打撃を受けた企業は多い」とし、「その中でもコストコは消費者と供給業者など小売エコシステム全体に影響力があり、政権からの反発を甘受できる立場にある」と評価した。マクマホンアドバイザリーのグレン・マクマホン代表アナリストは「他の大手小売企業とは異なる道を歩んだコストコは、結果として消費者の信頼を得た」と述べた。













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