
ドナルド・トランプ大統領の、中国に対する「NVIDIA」の高性能人工知能(AI)チップ「H200」の販売許可を巡って、民主党はもちろん共和党からも反発が出ている。
報道によると、中国では半導体自立などを理由に国内メーカーに「H200」チップの使用を制限しようとする報道も出ており、「H200」を巡る状況が複雑化している。
◆ 共和党のムーレナー下院議員、ラトニック商務長官に説明を要求
英「フィナンシャル・タイムズ」(FT)は12日、米下院中国問題特別委員会のジョン・ムーレナー委員長(ミシガン州)が、ホワイトハウスの輸出許可を決定した根拠となる資料について疑問を呈したと報じた。
ムーレナー議員は、「ファーウェイ」が製造する最先端チップが「NVIDIA」のチップと競争するという主張に疑問を投げかけた。
トランプ大統領は8日、自身のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」を通じて「習近平国家主席に、アメリカが国家安全保障を強力に維持する条件で、中国に『H200』製品を供給できるよう許可すると伝えた」とし、「習主席は、これに対し前向きな反応をした!」と述べた。
これは、一部の米国の安全保障関係者が、中国の人工知能技術の発展を促進し、軍事現代化を加速させる可能性があるとの懸念を示したにもかかわらず行われたものだとFTは伝えている。
「NVIDIA」の最高経営責任者(CEO)ジェンスン・フアン氏は、「ファーウェイ」がチップ開発でかなりの進展を遂げたため、輸出制限は無意味だと主張している。 しかし、批評家らは「NVIDIA」がロビー活動の一環として「ファーウェイ」の進展を誇張していると指摘している。
ムーレナー議員は「ファーウェイは『NVIDIA』と同様の個別サービス性能を達成するために性能の劣るチップを多数接続することで、アメリカの技術統制を回避しようとした」とラトニック商務長官に送った書簡で主張した。
ムーレナー議員は、「ファーウェイ」が自社の主力チップ「910C」が「NVIDIA」の「真の競争相手」だと主張してきたと述べた。 そのため、アメリカの一部の関係者は、中国に最先端チップを輸出してアメリカのAI「技術スタック」にさらに依存させるべきだという論理を展開している。
ムーレナー議員は、「ファーウェイ」は「910C」が台湾「TSMC」で製造されたという事実も認めようとしないと述べた。ムーレナー氏は、「ファーウェイ」の次世代チップ「910D」は中国で製造され、「910C」より機能がやや劣ると述べた。
◆ 「ファーウェイがNVIDIAの競争相手?事実と異なる」
ムーレナー氏は、中国のAI先端企業「DeepSeek」がAIモデルの訓練を続けるために密輸された「NVIDIA」のチップに依存せざるを得なかったという報道を引用した。
彼は「中国企業に最先端半導体の販売を承認することは、トランプ大統領が1期中に達成した卓越した戦略的優位を損なうリスクがある」と述べた。
ムーレナー議員は、中国が自国産よりも発達した数百万個のチップを購入することを許可すれば、アメリカが人工知能産業で主導権を維持しようとするトランプ大統領の努力を弱体化させると強調した。
共和党のピート・リケッツ氏と民主党のクリス・クーンズ氏など6人の上院議員は、超党派の協力を通じてアメリカが30ヶ月間「H200」の輸出許可を出さないようにする法案を提出した。この法案の共同発起者には、共和党のトム・コットン氏とデイブ・マッコミック氏も含まれている。
民主党所属の上院情報委員会副委員長のマーク・ウォーナー氏は12日、国防を専門とする記者の集まりで「NVIDIA」が「H200」チップを中国に輸出することを許可したのは間違いだったと述べた。
「NVIDIA」は「H2Oも輸出により海外競争を抑制できた」とし、「『H2O』の出荷が遮断された後、海外のAIチップ企業は急成長し、『H2O』の出荷が再開されたときには購入を希望する企業がなかった」と述べた。「H200」でも同様の失敗が繰り返されないよう「H200」輸出を許可すべきだという論理だ。
◆ 中国規制当局、国産製品が要求を満たさないことを説明した後、「NVIDIA」製品の購入を承認
先立ってFTは9日、中国が半導体生産自立を推進する中でのアメリカの輸出許可にもかかわらず、「H200」チップへのアクセスを制限する可能性があると報じた。
同紙は消息通を引用し、中国の規制当局は「H200」購入者がチップの購入リクエストを当局に提出し、国内の供給業者の製品が彼らの要求を満たせない理由を説明する承認手続きを経なければならないと述べた。
「NVIDIA」の「H200」アクセス制限について、中国国内のチップメーカーは「NVIDIA」と競争する製品を生産するよう圧力をかけられるとFTは予想している。
中国の二つの規制機関、すなわち「国家発展改革委員会」と「工業情報化部」は、国産チップの競争力を保証するために他の措置を講じる可能性があると消息通は伝えた。これには公共部門での「H200」購入禁止も含まれる。
「NVIDIA」の最先端チップが再び入ってくれば、「アリババ」、「ByteDance」、「テンセント」などの技術大手が歓迎するだろうとFTは展望している。彼らは一部の基本的なAI機能には中国製チップをより多用してきたものの、性能が高くメンテナンスが容易な「NVIDIA」製品が依然として好まれているという。彼らの中には、中国国内で禁止されている「NVIDIA」チップにアクセスするために海外でAIモデルを訓練している企業もあるという。
一方、トランプ大統領の「NVIDIA」最先端チップ輸出許可に対し、議会の超党派上院議員たちが「H200」を含むチップの中国輸出を30ヶ月間承認しないようにする法案を提出した。しかしながらFTは、トランプ氏の「H200」輸出許可決定に公然と批判した共和党員がほとんどいないことを考慮すると、この法案の通過見通しは不透明だと伝えた。
FTは8日、「H200」輸出許可決定について安全保障専門家が反発しているとし、「中国の軍事近代化を遅らせるために、半導体装置と技術全般に広範な輸出統制を実施してきたバイデン政権の強硬路線から大きく転換した決定」と解釈した。














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