
トランプ政権がエヌビディアの人工知能(AI)半導体「H200」の対中輸出を承認したことを受け、米議会は先端半導体の輸出規制を改めて強化する方向で検討を進めていることが判明した。
報道によると、米下院外交委員会の委員長を務める共和党のブライアン・マスト下院議員は、20日(現地時間)に「AIオーバーウォッチ法案」を提出し、敵対国向けのAIチップ販売について、武器輸出と同様の議会による事前監督を導入する仕組みを提案した。
法案では、エヌビディア「H20」と同等、またはそれ以上の性能を持つAIチップを輸出する場合、議会への事前通知を義務付け、通知から30日以内に共同決議によって輸出を差し止めることができると定めている。
また、アメリカの同盟国や中立国にチップを供給する「信頼できるAI企業」については、輸出許可の例外を認める条項も盛り込まれた。この法案には、中国特別委員会の委員長を務めるジョン・ムレナー下院議員をはじめ、共和党所属の議員らが支持を表明しているとのことである。
ムレナー議員はこれに先立ち、商務省に書簡を送り、トランプ大統領がH200や類似チップの対中国輸出を許可した理由について説明を求めた。H200は、現行規制の下で中国に販売可能とされている最高性能のチップ「H20」と比べ、約6倍の性能を持つと評価されている。
一方、民主党側でもグレゴリー・ミークス下院議員を中心に、中国などの懸念国に対する先端AIチップ販売を全面的に禁止する別の法案が提出された。
今回の議論は、数年にわたって強化されてきたアメリカの半導体輸出規制の流れから外れる形で、H200の輸出が認められたことをきっかけに本格化した。トランプ現政権は、中国市場にエヌビディアの「次善のチップ」を供給することで、ファーウェイなど中国企業との競合を促す狙いがあるとしている。
しかし、一部の共和党議員からは懸念の声が上がっている。上院で関連法案を共同提出したデイブ・マコーミック上院議員は「それが本当に正しい選択なのか確信が持てない」とし「中国の技術進歩を遅らせるどころか、むしろ加速させる可能性が高い」と述べた。
















コメント0