
欧米諸国、イランの「スリーパーセル」を警戒 ハメネイ師死亡で活性化の兆しか
イランが米国をはじめとする西側諸国に潜伏させている工作員「スリーパーセル(潜伏工作員)」に対し、活動開始を促す暗号化通信を送っている可能性が浮上している。地域社会に長期間同化し、指示を待つ工作員が活動を開始すれば、戦火が西側諸国へ直接波及し、紛争が世界規模に拡大するとの懸念が強まっている。
9日(現地時間)の米ABCニュースによれば、米政府は最近、司法当局に対し「イランから発信されたと推定される暗号化通信を傍受した」と警告を発した。米政府は、この通信がイラン国外に潜伏する工作員への作戦開始信号である可能性があるとみている。これらの通信は、先月28日の空爆によりイランの最高指導者アリ・ハメネイ師が死亡した直後、複数の国を経由して送信されたとのことだ。
「スリーパーセル」の実態 地域社会に溶け込む巧妙な戦術
スリーパーセルとは、特定の国家や団体が事前に潜入させた工作員が、長期間一般市民を装って生活し、指示が下った際にテロ行為に及ぶ組織を指す。2001年の米同時多発テロ事件では、工作員らが米国で英語を学び、航空学校で訓練を受けて操縦士免許を取得するなど、徹底的に身分を隠して準備を進めていたことが知られている。
こうした潜伏工作員は、外見上は一般市民と変わらない生活を送るため、事前に探知することは極めて困難とされる。2015年のパリ同時多発テロや2017年のマンチェスター・アリーナでのテロ事件も、地域社会に同化していた人物らが突如として引き起こしたものであり、甚大な人命被害を招いた。
イラン指導部による報復の呼びかけと厳戒態勢
米国とイスラエルによるイラン空爆以降、専門家らはスリーパーセルによる報復攻撃の可能性を危惧してきた。元FBI副局長のクリス・スウェッカー氏は、ヒズボラやハマスなどの関連組織が米国内で行動を起こすリスクが極めて高まっていると指摘している。
実際に、イランの高位聖職者は空爆後、米国とイスラエルに対する「聖戦」を促すファトワー(宗教的解釈)を発表した。タスニム通信によれば、このファトワーは全てのムスリムに対し、殉教した指導者の復讐を果たす義務があると宣言している。神政国家であるイランにおいて、この宣言は事実上の最高命令として機能する。
こうした状況を受け、欧米各国の当局は警戒を強めている。トランプ米大統領は記者会見で、スリーパーセルの動向を「注視している」と述べ、関連情報を詳細に把握していることを強調した。英国では特殊空挺部隊(SAS)がテロ警戒のためロンドンに展開したほか、カタールではイラン革命防衛隊(IRGC)と連携した組織員10人が逮捕されたとのことだ。
歴史学者の分析によれば、1979年以降、欧州ではイランに関連した攻撃の試行が100件以上確認されている。専門家は、単なる軍事衝突を超えた「見えない脅威」に対し、国際的な情報共有と防諜体制の強化が不可欠であると指摘している。













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