
高市早苗首相は初の訪米で、米国から求められていたホルムズ海峡への自衛隊派遣には応じなかったものの、停戦後に機雷除去を名目とした自衛隊派遣の可能性が浮上している。ドナルド・トランプ米大統領による派遣要請直後という「最悪のタイミング」で行われた今回の会談について、国内では外交的負担が増したとの見方と、最悪の事態は回避したとの評価が交錯している。
茂木敏充外相は22日、フジテレビに出演し、19日(現地時間)に米ワシントンのホワイトハウスで行われた日米首脳会談で、高市首相が自衛隊艦艇派遣の法的制約を説明したところ、「トランプ大統領が『そうだろう』とうなずいた」と明らかにした。茂木外相は会談に同席していた。
これに先立ち、日本テレビ系列NNNは21日、会談出席者によると、高市首相が停戦合意が成立するまでは自衛隊派遣は難しいとの認識を伝え、トランプ大統領も理解を示したと報じた。同放送はまた、複数の内閣関係者によると、高市首相がトランプ大統領に対し憲法第9条に基づく制約を説明したと伝えた。日本では戦争と武力行使を放棄した憲法第9条により、戦闘地域への自衛隊派遣は難しいと分析されてきた。
高市首相も会談直後の記者会見で、「日本の法律の範囲内で可能なことと不可能なことがあり、それを詳細に説明した」と述べた。
ドナルド・トランプ米大統領も、日本の立場に一定の理解を示したとみられる。トランプ大統領は会談翌日、フォックス・ニュースのインタビューで「日本は必要であれば支援するだろう」としながらも、「日本には憲法上の制約がある」と述べた。会談当時には「日本には4万5,000人の米軍が駐留しており、莫大な資金を支援している」として、ホルムズ海峡問題に関連し「日本が乗り出してくれることを期待する」と圧力をかけていたが、こうした発言からは一歩トーンを弱めたものとなった。
日米メディアによると、会談の場で高市首相はトランプ大統領を姓ではなく名前の「ドナルド」と呼び、親近感を示した。トランプ大統領は「日本の歴史上、最も成功した選挙を行った」「人気があり強い女性だ」と述べ、高市首相は「サンキュー、ドナルド」と応じた。さらに「世界に平和と繁栄をもたらす人物はドナルドしかいない」と語った。
ただし、高市首相は「今後も可能なことは確実に行っていく」と述べ、米国への支援の意思を示した。停戦後、機雷除去を目的として自衛隊をホルムズ海峡に派遣する可能性が指摘されている。共同通信によると、茂木外相は「日本の機雷除去技術は高い水準にあり、停戦状態において機雷が障害となる場合には(自衛隊派遣を)検討すべきだ」と述べた。一方で茂木外相は、「具体的な約束をしたり、宿題を持ち帰ったりしたわけではまったくない」と述べ、慎重な姿勢を示した。
政府内では、今回の会談について概ね肯定的な評価が出ている。もともと派遣要請直後に実現した今回の会談は「最悪のタイミング」との懸念が大きかっただけに、一定の負担軽減につながったとの見方が広がっている。
高市首相は21日、自身のX(旧Twitter)で「日米同盟の強化と両国経済の発展のための具体的な方向性を確認した有意義な訪問だった」と評価した。会談に同席した赤沢亮正経済産業相もXで「会談は成功だった」とし、「両首脳は終始友好的で、緊迫した国際情勢の中でも両国が特別なパートナーであることを示した歴史的な会談だ」と記した。
一方、国内メディアの評価は分かれている。産経新聞は「唯一の同盟国の指導者であるトランプ大統領を激怒させなかっただけでも成果だ」と評価した。朝日新聞は「トランプ大統領からホルムズ海峡の安全のための自衛隊派遣を露骨に要求されなかった点で、政府は安堵している」とし、高市首相が先に中東情勢に言及しイランを批判した点を「妙手」と分析した。
ただし、朝日は「トランプ大統領への称賛や対米投資・輸入拡大の約束によって歓心を買った一時しのぎに過ぎない」とし、「現行法の範囲内で自衛隊派遣を引き続き検討しなければならない課題を抱えることになった」と指摘した。日本経済新聞は「会談は無難に終わったが、中東の安定への貢献など重い課題が残った」とし、「具体的な対応をいつまで先送りできるかは不透明だ」と評価した。読売新聞は「イラン情勢と経済議題に議論が集中し、中国や台湾問題については十分な協議が行われなかった」と分析した。














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