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核抜き終戦案に「なぜ戦争を始めたのか」イラン合意に一斉反発

有馬侑之介 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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米国とイランの終戦合意の内容が明らかになり、米保守派を中心に「これならなぜ戦争を始めたのか」との声が相次いでいる。両国はまずホルムズ海峡を開放し、核心的な争点であるイランの核開発プログラムや高濃縮ウランの搬出・廃棄などについては、今後30~60日間協議を続ける内容の了解覚書(MOU)締結で暫定合意したとされる。米国のドナルド・トランプ大統領は2月に対イラン軍事作戦を開始した際、「イランの差し迫った核の脅威」を名分に掲げたが、重要課題を後回しにするような姿勢に共和党内からも批判が噴出した。合意を近く発表できるとして週末の日程を取りやめ、急ピッチで交渉を進めていたトランプ大統領は24日(現地時間)、こうした空気を意識したかのように「イランとの交渉はまだ終わっておらず、(交渉チームに)合意を急がないよう指示した」と述べ、合意を急がない姿勢を示している。25日には「イランとの交渉は偉大で意味あるものでなければノーディールだ」と述べ、「失敗したオバマ政権の交渉とは正反対だ」と強調した。合意が不発に終われば「これまで以上に大規模で強力な攻撃が再開される」とも警告している。

元側近らも「オバマ合意と同じ」 追い詰められるトランプ大統領

ニューヨーク・タイムズ(NYT)は24日、ある当局者の話として、両国がホルムズ海峡を開放し、イランが保有する高濃縮ウランを廃棄することで原則的に合意したと報じた。イラン外務省報道官のエスマイル・バガイ氏も同日の記者会見で「米国との対話議題について、かなりの部分で合意に達した」と明らかにした。

ただ、イランは30~60日間の休戦を延長すれば、その期間はホルムズ海峡を「無料で開放」できるものの、戦争前のような自由通航はもはや認められないとの立場を示している。ホルムズ海峡を交渉カードにする威力を確認したイランが、海峡の管理権を恒久化しようとしているとの見方だ。イラン外務省は「ホルムズ海峡の安全通過に向けたサービス料を徴収する」としている。

これに対し、共和党所属で米上院軍事委員会のロジャー・ウィッカー委員長は声明を出し、「大統領は紙切れにも劣る交渉を進めるよう誤った助言を受けている」と指摘した。そのうえで「われわれの有能な軍がイランの通常戦力を完全に破壊した後、ホルムズ海峡を再開放すべきで、イランが善意で交渉に臨むと信じて進める60日間の休戦は災厄になる」と訴えている。対イラン強硬派でトランプ大統領に近い共和党のリンゼイ・グラハム上院議員も、今回の合意はイランがホルムズ海峡をテロ遂行能力で脅かせることを確認させるものだとして、「そもそもなぜ戦争を始めたのか疑問を抱かせる」と述べた。イランの圧力に米国が屈したように映りかねないという指摘だ。

引用:トゥルース・ソーシャル
引用:トゥルース・ソーシャル

先にホルムズ海峡を開放し、その後に核交渉を進め、核放棄の見返りとしてイランへの制裁を解除する案についても、「オバマ時代と何が違うのか」との批判が相次いだ。第1次トランプ政権の要人だったジョン・ボルトン元国家安全保障担当大統領補佐官は「このままではイランが重大な勝利を収め、再び核開発の道に戻り、世界のテロを支援し、自国民を弾圧することになる」と警告した。マイケル・フリン元国家安全保障担当大統領補佐官は「イランは過去にも平然とうそをついてきたのに、今になって真実を語ると信じるのか」と疑問を呈している。マイク・ポンペオ元国務長官も、現在イランと議論されている交渉案はオバマ政権の合意案と同じだとして、「地域の同盟国を脅かせないよう、イランの能力を十分に除去しなければならない」と主張した。

米国はオバマ政権時代の2015年、西側の制裁緩和と引き換えにイランの核プログラム開発を制限する、いわゆる包括的共同作業計画(JCPOA)を締結した。トランプ大統領は大統領候補時代からこれを「最悪の合意」と強く批判し、第1次政権下の2018年に離脱している。

トランプ大統領は開戦演説で「イランは絶対に核を保有できない」と戦争目標を公言したが、現在はホルムズ海峡の開放をカードに掲げるイランの「段階的な核協議」要求を、事実上受け入れている。民主党のコリー・ブッカー上院議員はCNNに「大統領が愚弄されている」と述べ、「イランにより過激な政権が生まれる余地を与え、米国を以前より悪い状況に追い込んだ」と批判した。同党のクリス・ヴァン・ホーレン上院議員は、現在の形で交渉を進めれば「戦争前の状態に戻るだけだ」との見方を示している。休戦期間中にイランが合意を履行するか確信できず、核物質の査察・処理方法などの難題を巡り、イランが過去と同じような露骨な時間稼ぎ戦術を使えば、米国が出口の見えない泥沼にはまりかねないということだ。批判が続く中、トランプ大統領はソーシャルメディアに「正しく理解せず、批判ばかりする敗者たちの言葉を聞くな」と投稿した。

イスラエルと中東諸国も、トランプ大統領の拙速な交渉姿勢に懸念を示している。イスラエルは「核問題は今後協議する」とする現在のMOU協議では、イランによる安全保障上の脅威を根本的に取り除けない可能性があるとみている。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は24日、ソーシャルメディアに「イランとのいかなる最終合意も、必ず核の脅威を取り除くものでなければならず、これはイランの核濃縮施設を解体し、濃縮された核物質を自国領土から搬出することを意味する」と投稿した。

有馬侑之介
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