
米国は25日(現地時間)、イラン南部のホルムズ海峡付近にある一部目標を空爆した。ロイターによると、米中央軍は「機雷敷設を試みていたイラン船舶とミサイル発射台を狙った『自衛権に基づく』空爆だった」とし、「停戦交渉中の米軍保護に向けた措置だ」と説明したという。米国とイランの交渉が最終局面で難航するなか、早期に成果を示す必要に迫られる米国のドナルド・トランプ大統領による圧力戦略と受け止められている。トランプ大統領は前日、「合意に至らなければ、これまでにないほど大規模で強力な攻撃が再開される」と述べていた。
これに対し、イラン革命防衛隊は、自国領空を侵犯した米軍のMQ-9無人機を撃墜し、F-35戦闘機にも射撃を加えて領空外へ退避させたと主張している。さらに「侵略的な米軍による停戦違反に厳重に警告する」としたうえで、「停戦違反行為に対する報復の権利は正当かつ確固たるものだ」と表明した。ただ、今回の衝突が全面的な攻撃再開や報復に広がる兆しは、今のところ見えない。米政権関係者はFOXニュースに「今回の攻撃は、イランとの停戦が終わったことを意味しない」と話している。
イラン側では、イランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長が率いる交渉団がカタールのドーハに到着し、約3兆8,000億円規模の凍結資産解除をめぐる最終交渉を進めているとされる。米国のマルコ・ルビオ国務長官は「カタールで一部の対話が進んでおり、合意文の文言をめぐって多くの意見が交わされている」とし、「おそらく数日かかるだろう」と語った。
「核物質、イラン国内で廃棄も可能」
こうした中、トランプ大統領がイランの高濃縮ウラン処理案をめぐって柔軟な姿勢を見せたことで、合意の余地が広がったとの見方が出ている。終戦交渉の最大争点の一つである高濃縮ウラン問題について、トランプ大統領は「イランとの協力・調整を通じて現地で廃棄するか、別の適切な場所で米原子力委員会または同等の機関の立ち会いの下で廃棄できる」と述べた。
イランが保有する濃縮度60%の高濃縮ウラン約440キロを米国が回収すべきだとの立場から、一歩後退した形だ。これに先立ち、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はイランの核物質をロシアへ搬出する案を示したが、トランプ大統領は電話会談で「ウクライナ戦争のほうに気を配るべきだ」との趣旨で提案を一蹴するほど、強硬な態度を見せていたと伝えられている。
これは、イランへの空爆に踏み切りながらも交渉の扉を残す、硬軟両様の戦略の一環とみられる。この日、ルビオ国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の電話会談でも、関連議論が交わされた可能性が取り沙汰されている。
これにより、「核主権を放棄できない」との立場を堅持してきたイランが合意に応じやすくなり、トランプ大統領も核物質廃棄を前面に出して「イランの核開発阻止」という戦争目的の達成を宣言できるとの見通しが出ている。現在、両国は相互の敵対行為を中止し、ホルムズ海峡を再開放したうえで、今後30~60日間にわたり核問題をめぐる追加交渉を行う内容の了解覚書(MOU)締結に近づいていると伝えられる。一方で、米国の開戦の大義名分だった「イランの差し迫った核の脅威」が後回しにされるかのような状況に、米保守派では「それならなぜ戦争をしたのか」との批判が強まり、トランプ大統領への政治的圧力となった。
一方では、米国が高濃縮ウランの回収カードを取り下げれば、イランのウラン濃縮停止や定期査察の受け入れといった他の争点でも譲歩を迫られるのではないかとの懸念が出ている。トランプ大統領はこうした批判を意識したのか、米国の戦没将兵追悼記念日であるメモリアルデーの式典演説でイラン戦争の戦死者に触れ、「イランは決して核兵器を持つことはできない」と改めて強調した。
これに対し、イランの最高指導者であるモジュタバ・ハメネイ師はこの日声明を出し、「中東の人々と領土は、もはや米軍の盾ではない」として、中東にある米軍基地の撤退を要求した。米国を圧迫しながら、交渉に反対する国内の強硬派をなだめるメッセージと受け止められている。
トランプ大統領、イラン孤立化を狙うか
トランプ大統領が、第1次トランプ政権の代表的な外交成果であるアブラハム合意と今回の交渉を結びつけようとしている点も、米国内の反発を抑えながら成果を強調する狙いとみられる。アブラハム合意は、米国主導でイスラエルとアラブ圏の主要国の外交関係を正常化した合意だ。これまでにアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンなどが署名しており、トランプ大統領はサウジアラビア、カタール、パキスタン、トルコなど、米国とイランの合意を促してきた国々も合意に加わるべきだと主張している。
アブラハム合意が拡大すれば、イランが国際的に孤立する効果が生じるとの見方もある。サウジアラビアをはじめとするイスラム教スンニ派諸国がイスラエルと手を組み、イランを中心とするシーア派諸国と対峙する構図へ中東情勢が再編されるという見立てだ。これを足がかりに、トランプ大統領はイランへの圧力をさらに強めることができるとみられる。ただ、サウジアラビアが協定参加の条件としてパレスチナの独立国家としての地位承認を求めるなど変数もあり、合意が短期間で拡大するのは難しいとの見方も根強い。














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