
北朝鮮の権力構造を長年分析してきた韓国の専門家は、最新の分析報告で、同国の後継構図が深刻な不安定化に向かいつつあり、金正恩党委員長の健康問題と相まって体制の持続性に重大な疑念が生じていると指摘した。特に、金正男氏の息子である金ハンソル氏が代替的存在として浮上し得るとの見方は、北朝鮮情勢を長年注視してきた各方面の関心を集めている。
専門筋によれば、金正恩政権は住民生活の改善に失敗し、社会不満を抑え切れていない。こうした中で、金正男氏の息子・金ハンソル氏が王統の正統性を持つ人物として、北朝鮮内部で一定の受容性を得る可能性があるとされる。金正男氏は金正日の長男で、本来であれば後継候補の筆頭に位置したが、政治的力学によって排除された経緯がある。改革開放志向が強く、住民生活の向上を重視した人物として内部評価も比較的高かったという。
金ハンソル氏は王朝の血統を継ぐ嫡統と見なされ、父が金正恩氏によって排除されたとされる点から、政権側に対する強い不信感を抱く可能性がある。専門家は、金正恩氏に急変事態が発生した場合、北朝鮮内外の一部勢力が暫定指導体制の構築を目的に彼を担ぎ出すシナリオを排除できないと分析する。その場合、北朝鮮の改革開放や非核化に向けた唯一の現実的カードとなり得るとの見通しも示された。また、反体制組織「自由朝鮮」が関与したスペイン北朝鮮大使館占拠事件などを例に挙げ、同組織の実行力と影響力の大きさにも言及した。

一方、現在後継者候補とされる金正恩氏の娘・キム・ジュエ氏について、専門家は極めて懐疑的な見方を示した。金正恩氏が娘を溺愛することと、国家指導者として据えることは全く別問題であり、最近の北京訪問で見せた未熟で控えめな姿勢は、後継者として必要な資質を欠く兆候だと指摘した。さらに、中国訪問後の党創建記念行事にジュエ氏が姿を見せなかった事実を挙げ、彼女自身と金正恩氏の双方に相当な心理的負担が生じた可能性を示唆した。
加えて専門家は、金正恩氏の健康異常説が現実性を帯びつつあると強調した。過度な食習慣、運動不足、複雑な女性関係、国家運営に伴う極度のストレスといった複数の要因が、金正恩氏の健康を深刻に損ないつつあるとの分析が出ている。これらが複合して進行すれば、長期的な生存は難しく、4代世襲を強行すれば逆に体制崩壊を加速させる恐れがあるという。

総じて専門家は、北朝鮮の不安定な後継構図と金正恩氏の健康リスクは、今後の体制運営に対する決定的な変数になると指摘。金ハンソル氏の潜在的影響力と併せ、北朝鮮の将来は極めて不透明さを増していると分析した。
朝鮮半島の安定にも直結する問題として、周辺国はその推移を注視せざるを得ない状況にある。













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