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30年経った今、「忘れられない」どころか「風化」させてはならない!地下鉄サリン事件の真相とその後の闘い

竹内智子 アクセス  

世界を震撼させた「地下鉄サリン事件」…「30年経っても忘れられない」

今月4日午後7時、東京メトロ千代田線の霞ケ関駅で40代の女性が駅構内の慰霊碑に手を合わせ、静かに立ち去った。この霞ケ関駅は30年前の1995年3月20日午前8時頃、オウム真理教が青酸カリの500倍の毒性を持つサリンガスを散布した無差別テロの現場となった場所だ。

引用:AP通信
引用:AP通信

当時、2人の駅員が迅速に地下鉄内のサリン入りの袋を駅務室に移して、数百人規模の死者が出る危険を回避した。しかし、サリンに直接曝露されたこの2人の駅員は命を落とした。慰霊碑には「的確な判断により多くの乗客の命を救い、殉職した高橋一正と菱沼恒夫の功績を記憶する」と刻まれている。同駅の職員は「何年、何十年経っても犠牲者を忘れないための慰霊碑だ」と語り、「毎年3月20日には駅務室に献花台を設け、テロの日を追悼している」と付け加えた。

今月20日にサリン事件から30年を迎える日本社会は「サリンテロを風化させない方策」を模索している。政府は当時の現場写真、目撃者証言、被害者の診療記録などをデジタル化し永久保存することを決定した。東京都・足立区は「地下鉄サリン事件風化防止啓発推進条例」を可決した。

村上春樹が小説『アンダーグラウンド』で「それらを通過する前とあととでは、日本人の意識のあり方が大きく違ってしまった」と表現したように、サリン事件は社会の秩序を根底から揺るがした。

この事件はオウム真理教が洗脳された信者を利用し、千代田線・日比谷線・丸ノ内線など東京メトロ3つの路線でサリンガスを散布し、14人が死亡、6300人以上が負傷した無差別テロだった。不特定多数を標的とした化学兵器によるテロは世界初であった。地下鉄車内で2人1組のテロリストがサリンの入ったビニール袋を傘で突き破って逃走した。数千人規模の死者が出る可能性もあったが、テロリストらは自身の逃走時間を確保するためサリンの濃度を下げ、傘で穴を開ける方法を採用したため、被害が抑えられた。

犯行の主要ターゲットは3つの路線が交差する霞ケ関駅だった。警察の捜査圧力を受けていたオウム真理教が、法務省・外務省・国土交通省など中央省庁が集中する霞ケ関駅の通勤ラッシュ時を狙い、政府機能の麻痺を図ったのだ。

事件直後、この国は「宗教的迫害だ」と抵抗するオウム真理教に対し、容赦ない捜査を展開した。事件発生から2日後にはオウム真理教の主要拠点を家宅捜索した。2か月後の5月16日には富士山麓にある施設で教祖・麻原彰晃を逮捕した。毒ガス攻撃に備え、警察官らは有毒ガスに敏感な鳥であるカナリアを携え、防毒マスクを着用した。電動ノコギリで鉄扉を切り開いて突入した。2、3階の階段間にある小さなダクトを発見し、その下の密室に潜んでいた麻原を逮捕した。

他の逃亡犯の追跡は、その後17年間粘り強く続けられた。最後の指名手配犯・高橋克也がネットカフェで逮捕されたのは2012年6月、事件から17年後のことだった。殺人罪の公訴時効は15年だったが、国会は刑法を改正し重大犯罪の公訴時効を撤廃した。警察は17年の歳月をかけ、全ての指名手配犯を一人残らず逮捕した。

司法は厳正な裁判を行った。地下鉄サリン事件関連の裁判は、事件から23年後の2018年1月、実行犯の高橋に無期懲役が確定し全て終結した。麻原とオウム幹部、サリン製造者・実行犯ら13人に死刑判決が下され、188人が無期懲役などの有罪判決を受けた。法務省は死刑執行を躊躇しなかった。同年7月6日に麻原ら7人の死刑を執行し、26日には残る6人も刑が執行された。

オウム真理教との闘いは今も続いている。政府は1996年にオウム真理教を強制解散させたが、麻原の教義を引き継ぐ「ひかりの輪」や「アレフ」といった団体が存続している。麻原は人間を「霊的人間」と「動物的人間」に分類し、後者を抹殺して人類を再構築するという荒唐無稽な主張を展開していた。これらの後継団体は「地下鉄サリン事件は第三者の仕業でオウム真理教に冤罪をかけられた陰謀だ」と主張し、麻原を支持し続けている。

東京都・世田谷区のある集合住宅には、「ひかりの輪」の施設が20年以上前から存在している。地域住民は2001年、その向かいに「オウム真理教対策住民協議会」の仮設建物を設置した。20年以上にわたり、新規信者の勧誘を阻止すべく監視を続けている。その結果、この施設の信者数は最盛期の100人から現在は5人にまで減少した。政府も「ひかりの輪」や「アレフ」などを観察処分の対象に指定している。

社会の懸念は「若い世代がいつ地下鉄サリン事件を忘れてしまうのではないか」ということだ。NHKが昨年12月にテロ被害者を対象に実施した調査では、87%が「地下鉄サリン事件が風化していると感じたことがある」と回答した。これを受け政府は、事件当時の現場写真、被害者・目撃者の証言、遺族の手記などをデジタル化して永久保存する「デジタルアーカイブ」を今月21日に公開する予定だ。東京都・足立区は「地下鉄サリン事件風化防止啓発推進条例」を制定した。毎年3月20日を追悼の日と定め、学生たちにこの事件について継続的に教育していく方針だ。前例のない化学テロの教訓を後世に伝えることが目的である。

☞地下鉄サリン事件

1995年3月20日午前8時、東京の地下鉄18駅と車両5両で、青酸カリの500倍の毒性を持つ神経ガス・サリンが散布され、14人が死亡、6300人が負傷したテロ事件である。

竹内智子
takeuchit@kangnamtimes.jp

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