米インタールーン、月面用電動掘削機の試作品を公開
科学専門メディアのニュー・アトラスは27日(現地時間)、魔法の燃料「ヘリウム3」を月面で採掘することを目標としている米国の宇宙探査スタートアップ企業インタールーン(Interlune)が、掘削機の試作品を公開したと報じた。
インタールーンは最近、月探査機「ルナ・ハーベスター(Lunar Harvester)」の主要構成要素の一つである実物大の掘削機の試作品を披露した。

インタールーンは、月面で採掘したヘリウム3を地球に輸送することを目指す企業だ。米エネルギー省や航空宇宙局(NASA)、アメリカ国立科学財団(NSF)の支援を受け、ヘリウム3の抽出・分離技術の開発に取り組んでいる。
同社のヘリウム3採掘プロセスは、掘削、分類、抽出、分離の4段階で構成される。掘削段階では、米重機メーカーのバーミヤ(Vermeer)と提携し、昨年半ばまでに小型掘削機の試作品を開発・テストした。今回公開された試作品は、従来の溝掘削技術と比べ、牽引力、消費電力、そして粉塵の発生を抑える設計となっている。

この電動掘削機は、月面の表土を掘削することで、1時間当たり最大100トンを除去できる。掘削した月の表土は分類装置に送られ、その後、資源の抽出・分離作業が行われる。分離された月の表土は月面に戻される。

同社は、シアトルにある月の重力環境を再現した極低温実験室で、これらの構成要素を積極的に開発・テストしているという。インタールーンは、2027年にヘリウム3濃度検証のための月探査を実施し、2029年までには月面に試験的な採掘工場を建設する計画だ。本格的な運用と販売は、2030年代初頭から始まるものと予想されている。
ヘリウムは、エネルギー生産から医療分野まで幅広く使用されているが、2008年半ば以降は供給不足に陥っている。ヘリウムの同位体であるヘリウム3は地球上にはほとんど存在しないが、月面には豊富に存在することが知られている。
ヘリウム3は、たった1グラムで石炭40トン分のエネルギーを生み出せるとされる「魔法の燃料」だ。量子コンピューティングや医療映像などの応用分野に加え、将来的には核融合炉の燃料として使用されることが期待されている。