
現生人類の「いとこ」とされるネアンデルタール人が約4万3000年前に赤い顔料で残したとみられる指紋が発見された。
現地時間の27日、イギリスのBBCによると、マリア・デ・アンドレス=エレロ教授が率いる研究チームが、スペイン・セゴビアのサン・ラサロ岩陰遺跡で発見された花崗岩に、ネアンデルタール人が意図的に残したと考えられる指紋を確認したと発表した。

指紋が残されたとされる石は、2022年にネアンデルタール人の遺跡の地中1.5メートルの深さで発見された。
周囲の他の石よりも比較的大きかったが、道具として使用された痕跡は確認されなかった。代わりに、人の顔を模したようなくぼみが複数刻まれていた。
特に科学者たちの注目を集めたのは、中央にある赤い跡だ。人の顔に例えるなら、鼻に相当する部分である。

研究チームはスペイン科学警察の協力を得て、マルチスペクトル分析により赤い跡の正体を確認した。その結果、跡は成人男性が指に赤い染料を付けて押し付けた「指紋」と判明した。石に目と口の形を刻み、染料を付けた指で鼻を描いたと推測される。
アンドレス=エレロ教授は「考古学的文脈で色素による最初の遺物」とし、「ネアンデルタール人の能力に対する理解を深める貢献」と評価した。
研究チームは、この指紋が実用目的ではない場面で見つかった点に重要な意味があると説明した。元スペイン文化観光スポーツ大臣のゴンサロ・サントーニャ氏は、この石について「ヨーロッパ大陸で発見された最古の携帯可能な芸術作品であり、同時にネアンデルタール人が作った唯一の携帯可能な芸術作品」と述べた。
ただし、これは推測に過ぎず、携帯可能な芸術作品と断定することはできないと、論文の共同著者のデイビッド・アルバレス・アルフォンソ氏は付け加えた。この石に匹敵するネアンデルタール人の携帯可能な芸術作品が他に確認されていないためである。
使用された赤い色素の正体は、依然として特定されていない。当初は赤土という推測もあったが、周辺で赤色顔料が発見されなかったため、比較分析が困難だ。研究チームは、作品を作ったネアンデルタール人が赤い色素を外部から持ち込んだと推測している。
この研究には、マドリード・コンプルテンセ大学、スペイン地質鉱山研究所、国家警察科学警察総局、サラマンカ大学が参加した。論文は査読付き科学誌「考古学および人類学科学」(Archaeological and Anthropological Sciences)に掲載された。