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【建築革命】コンクリートの弱点「ひび割れ」を勝手に修復する合成地衣類をDARPA支援で開発、外部栄養供給不要の革新技術

竹内智子 アクセス  

引用:Pixabay
引用:Pixabay

コンクリートは安価で成形が容易な上、高い強度を持つことから、現代建築において欠かせない素材である。

しかし、そんなコンクリートにも致命的な弱点がある。それは「引張強度の低さ」だ。時間の経過や衝撃などでひび割れが発生しやすく、ひとたびひびが入ると、そこから水や空気が内部に浸透し、鉄筋の腐食を引き起こすなど、耐久性の低下を招く。

この問題を解決するため、科学者や業界関係者は長年にわたり「自己修復コンクリート」の研究を進めてきた。

中でも注目されたのが、微生物を活用してひび割れを修復する技術である。しかし、微生物ベースの自己修復型コンクリートには大きな課題があった。自ら栄養を生産できないため、修復物質を生成させるには外部から絶えず栄養を供給しなければならなかった。

そのため、実用化にあたっては、ひび割れが生じた際に栄養分を注入したり、初期段階で栄養カプセルをコンクリートに混ぜ込んだりする必要があった。

こうした課題の解決を目指し、米国防高等研究計画局(DARPA)の支援を受けたテキサスA&M大学のグレース・ジン博士の研究チームは、新たに「合成地衣類」に着目した。

引用:Picturethis
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一見するとコケのようにも見える「地衣類」だが、実は全く異なる生物群である。地衣類は、植物に分類されるコケとは異なり、菌類と藻類が共生して形成される複合体であり、根や茎、葉といった植物的な構造を持たない。

光合成を行う緑藻類およびシアノバクテリア(藍藻類)は、菌類に必要な有機炭素や有機窒素を供給し、菌類は緑藻類およびシアノバクテリア(藍藻類)に住処と保護を提供する。このような共生関係で成り立っているのが「地衣類」だ。

研究チームは、大気中の二酸化炭素と窒素を固定するシアノバクテリアと、イオン化されたカルシウムを取り込んで大量の炭酸カルシウム沈着を促進する糸状菌を組み合わせることで、特別に設計された「合成地衣類」を開発した。炭酸カルシウムは、自然界では卵の殻や貝殻、サンゴなどに見られる成分である。

研究チームが実験を通じて開発した合成地衣類は大量の炭酸カルシウムを沈着させ、コンクリートのひび割れを修復・補完し、それ以上の亀裂拡大を防ぐことに成功した。この仕組みは、化学反応を通じて炭酸カルシウムを生成し、ひびを補修していた古代ローマのコンクリートと類似している。

微生物ベースの自己修復型コンクリートとは異なり、合成地衣類を用いたコンクリートは外部からの栄養供給を必要としない。コンクリート内部に生息し、人手を介することなく機能を果たす点が特徴である。

研究チームは、今後この地衣類が実際にコンクリート内部でどのようにひび割れに対応するかを詳細に観察していく予定だ。「今回の成果は、コンクリートの自己修復に向けた安定的な光合成で栄養を得る生物と、他の生物に依存する生物の共生系(光栄養・異栄養システム)を構築できる可能性を示すものだ」とし、「2種類の微生物の能力を同時に活用し、外部からの栄養供給も不要な方法だ」とチームは説明している。

竹内智子
editor@kangnamtimes.com

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