台湾政府が衛生強化を目的に新たな規則を施行した。

今月5日(日本時間)、台湾メディア「聯合報」などは、台湾食品薬物管理署が「優良食品衛生管理指針」の改正案を同日から本格的に施行したと発表した。
この改正案は、2024年1月に立法予告されていたものであり、調理または提供の過程で、食品関連の従事者が現金やその他の汚染の恐れがある物品に継続的に触れる行為を禁止する内容が盛り込まれている。
食品取扱者が現金を触った手でそのまま食品に触れた場合、最高で2億台湾ドル(約9億6,400万円)の罰金が科される可能性がある。これまでこの規定は食品製造業者のみに適用されていたが、今後は一般の飲食店だけでなく、屋台やフードデリバリーの配達員にまで対象が拡大される。
さらに台湾政府は、すべての新規従業者に対して最低3時間の衛生教育を義務付け、毎年3時間の再教育も必須とした。
配達ライダーが規制対象に含まれることになった理由は、配達の過程で地面に落とした食品を再包装して配送するなどの事例が物議を醸したためと伝えられている。
台湾保健当局は、関連する違反事例に対してまず是正命令を下し、これに従わなかった場合には6万台湾ドル(約29万円)から最大2億台湾ドル(約9億6,400万円)に達する罰金を科すことができると説明している。

また、市民が違反事実を通報した場合、罰金の2~5%に加えて、別途で400万台湾ドル(約1,930万円)の報奨金を受け取ることができる。
当局の関係者は「たい焼きや卵パンなどを販売する屋台の多くは1人で営業しており、食品と現金を同時に扱うことで交差汚染の懸念があるため、このようなガイドラインを施行することになった」と説明した。
これを受け、一部の店舗では業務を分担する体制を導入したり、現金の使用を減らすために電子決済サービスを導入するなどの対応を始めている。
しかし、台湾メディアは、台湾国内の屋台の数が12万5,000軒に上ると指摘し、1人で営業する屋台が強化されたガイドラインを順守するのは現実的に難しいと報じている。