5.7%の上昇で「マスク・トランプ対立」悪材料から回復
テスラの株価が3営業日連続で上昇し、先週のイーロン・マスクCEOとドナルド・トランプ大統領の対立前の水準まで回復したと、CNBCなどの海外メディアが10日(現地時間)に報じた。
この日、ニューヨーク株式市場でテスラの株価は前日比5.7%高の326.09ドル(約4万7,268円)で取引を終えた。これは、マスク氏とトランプ大統領の対立が表面化する前の4日の終値と比べて約6ドル(約870円)低い水準だ。

テスラの株価は、マスク氏が自身のX(旧ツイッター)に、テキサス州オースティンの公道で人間の監視なしに自律走行車をテストする様子の動画を投稿した後、急騰した。約8秒間のこの映像では、「ロボタクシー」と表示された黒いモデルYが交差点を走行し、横断歩道を渡る歩行者のために一時停止する場面が映し出されている。
これについてCNBCは、ロボタクシー市場ではグーグル傘下のウェイモが先行しているが、テスラもついに自動運転技術を公道に導入する準備が整ったようだと報じた。これに先立ち、ブルームバーグはテスラが今月12日にオースティンで無人ライドシェアサービスの試験運行を正式に開始すると予想している。テスラ側は6月中の導入を明らかにしているものの、具体的な日程はまだ公表していない。
マスク氏は最近のCNBCのインタビューで、まず10〜20台程度のロボタクシーを投入し、小規模にサービスを開始する予定だと明かした。このロボタクシーには、テスラの新しい運転支援システム「完全自動運転(FSD)」の監視不要バージョンが搭載される見通しだ。なお、テストには、来年に生産が予定されている未来型サイバーキャブではなく、モデルYが使用されるという。

パイパー・サンドラーのアナリストたちは10日のレポートで、オースティンで自動運転車が目撃されたことについて、「テスラに関する我々の主要な見解が実現され始めた」と述べ、テスラ株に対して「買い」評価を示した。
一方、自動車安全の研究者でカーネギーメロン大学コンピューター工学科のフィリップ・クープマン教授は、CNBCとのインタビューで、テスラが公道で無人車両を運行している事実に対し、投資家は過度に熱狂すべきではないと指摘した。
彼はマスク氏が共有した映像について、「この映像だけでは、これらの車両が本当に安全か、どのように機能するのか、そしてコストがどの程度かかるのかは分からない」と述べ、テスラがロボタクシーを監視し、必要に応じて操作を引き継ぐ「リモートアシスタント」に大きく依存する可能性が高いと付け加えた。
最近、マスク氏とトランプ大統領との関係が急速に悪化している。マスク氏がトランプ政権下での政府効率化省(DOGE)の長としての任期を終えた後、トランプ氏の減税案を公然と批判したことが発端となった。先週には、両者がソーシャルメディア上で互いを非難し合い、対立を深めたことから、マスク氏のビジネスに悪影響が及ぶとの懸念が広がり、テスラの株価は大きく下落していた。