
中国チベットの夜空を赤く染める幻想的な雷光が捉えられ、大きな話題となっている。
この現象が確認されたのは、今月1日ごろ、中国南西部に位置するチベット自治区山南市の上空である。SNSなどを通じて動画が広まり、多くの注目を集めた。
この幻想的な現象を捉えたのは、中国の天体写真家トン・シューチャン氏だ。トン氏は自身のSNSに「巨大なゴースト・スプライト(Huge Ghost Sprites)」と記し、映像を投稿した。
動画には、星がまたたく夜空に赤い光が点滅する様子が映されている。赤く弾ける雷光は、まるで花火のような幻想的な光景を作り出している。

この現象は「レッド・スプライト(Red Sprite)」と呼ばれ、非常に珍しい大気中の発光現象として知られている。地上から約60〜90キロメートルの高高度で発生し、大気中の窒素と反応して赤く大きな形が現れるという。
通常の雷が雲から地面に向かって落ちるのに対し、レッド・スプライトは空の上層に向かって伸びるため、非現実的な風景となる。出現時間は非常に短く、雲のない晴れた夜でないと観測できないため、撮影が困難とされている。
しかし、トン氏は「標高5,000メートルの場所で、明るく撮影できるレンズを使い、一晩中粘って撮った」と語っている。
レッド・スプライトが初めて発見されたのは1989年である。なお、2023年9月にはフランスの写真家ニコラス・エスキュラ氏もこの「赤い幽霊」の撮影に成功し、アメリカ航空宇宙局(NASA)とミシガン工科大学が運営する「今日の天体写真(Astronomy Picture of the Day)」に紹介された経緯がある。