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2025年06月23日月曜日
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「失われた物質」の謎が解明!?巨大銀河団で高温ガスのフィラメント構造を発見…宇宙モデルを裏付ける証拠に

引用:JAXA
引用:JAXA

国際研究チーム「宇宙の『失われた物質』の問題解決の糸口…標準宇宙モデルを裏付け」

銀河団(cluster)数十個が集まった宇宙の巨大構造、シャプレー超銀河団(Shapley Supercluster)で、天の川銀河(Milky Way)の質量の10倍に相当する高温ガスが糸状に広がる巨大なフィラメント構造が発見された。

オランダのライデン大学天文台のコンスタンティノス・ミグカス博士が率いる国際研究チームは20日、科学誌『天文学と天体物理学(Astronomy & Astrophysics)』で、X線宇宙望遠鏡を用いてシャプレー超銀河団内の4つの銀河団を結ぶ巨大な高温ガスフィラメントを発見したと発表した。

研究チームは、このフィラメントの質量が天の川銀河の10倍以上で、宇宙の「失われた物質」の一部が含まれている可能性があるとし、この発見が数十年来の宇宙の「失われた物質」の謎解明に貢献する可能性があると述べた。

宇宙観測で常に提起される問題の一つは、星、惑星、銀河など目に見える通常物質の量が理論上存在すべき量の約3分の1少ないことだ。標準宇宙モデルが正しければ、必ず存在するはずの物質が観測されていないのである。

研究チームは、宇宙モデルでも見えない物質が宇宙空間に糸状に伸びたガスの形、つまりフィラメント構造として存在する可能性が指摘されているが、フィラメントは一般に微弱で、近隣の天体からの光と区別するのが難しいと説明した。

彼らは本研究で、欧州宇宙機関(ESA)のX線宇宙望遠鏡XMM-Newtonと宇宙航空研究開発機構(JAXA)のすざく(Suzaku)X線宇宙望遠鏡でシャプレー超銀河団を観測し、これを他の望遠鏡の光学データと組み合わせて、銀河団間の巨大なガスフィラメント構造を特定した。

ケンタウルス座方向の6億5,000万光年先にあるシャプレー超銀河団は、25以上の銀河団と8,000以上の銀河が集まり、最大かつ最も密度の高い超銀河団の一つとされる。

研究チームは、すざくX線望遠鏡が広範囲にわたってフィラメントからの微弱なX線を捉え、XMM-Newton望遠鏡が観測領域内の超大質量ブラックホールなどからのX線を選別し、ガスフィラメントを精密に識別できたと説明した。

このフィラメントを構成するガスの温度は1,000万度を超え、総質量は天の川銀河の10倍に達し、長さは2,300万光年に及ぶと分析された。

共同研究に参加したドイツ・ボン大学のフロリアン・パコ博士は「2台のX線宇宙望遠鏡の協力により、フィラメント内のガスのみを正確に観測できた」とし、「このフィラメント構造は大規模宇宙シミュレーションと正確に一致した」と述べた。

研究チームは、本研究で4つの銀河団を結ぶ高温ガスフィラメントを発見し、その特性を正確に解明したとし、この成果は、特定の宇宙領域における「消失した質量」の問題を解決した初めての事例の一つだと明らかにした。

他の共同研究者であるESAのノルベルト・シャルテル博士は、この研究結果が標準宇宙モデルの説明を裏付けるとし、「失われた物質は実際には宇宙を横断する見えにくいフィラメントの中に隠れていた可能性がある」と述べた。

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