再開発に抵抗し「10階建て」に拡張された違法建築の真相
中国・貴州省のある村で、一人の男性が再開発の波に逆らい、自宅を10階建てにまで増築して注目を集めている。
陳天明(チェン・ティエンミン)というこの男性が暮らしていた家は、1980年に祖父が石を積み上げて建てたもので、家族の歴史と誇りが詰まった場所だった。だが高級リゾート建設を理由に当局が再開発を決定し、周辺の住民たちは立ち退きを余儀なくされた。
周囲の家屋が次々と取り壊されていく中、陳氏は逆に家を「上へ上へ」と増築。当局の一方的な通告に抗議する意味を込めて、目立つように建物を高くしていったという。

設計も施工もすべて独学で学び、7年かけて完成させたこの建築物は、木製の柱と板で囲まれ、内部には寝室やキッチン、階段など生活空間がしっかり整っている。ピラミッドのようなその外観は、夜には明かりが灯され、観光客が訪れる名所にもなっている。
しかし建物は無許可で改造されており、違法建築物として当局から度重なる撤去命令が出された。昨年には「既存の住宅を除く増築部分を5日以内に撤去せよ」という厳しい命令も下された。
陳氏は法的手段で抵抗を続けてきたが、これまでに数万元(約100万円)の訴訟費用を費やしながらも、判決はすべて敗訴。周囲からは「倒壊したらどうするんだ」「頑固すぎる」「この人さえいなければもうリゾートが完成していた」といった批判の声も上がっている。
それでも陳氏は「開発が止まった今、壊す理由はどこにもない」と語り、最後まで家を守る覚悟を示している。
