
中国の幼稚園で発生した鉛中毒事件が深刻な事態に発展している。原因は、食用不可の美術用染料を給食に混入していたことだった。事態が発覚した甘粛省天水市の褐石培心幼稚園では、すでに223人の園児が血中鉛濃度の異常を示し、保護者や地域社会に衝撃が広がっている。
『CCTV(中国中央テレビ)』によれば、初期症状として嘔吐や腹痛、脱毛、白髪、歯の変色などを訴えた20人超の子どもたちが鉛中毒と診断された。その後、園児251人全員を対象に検査が行われ、正常と判定されたのはわずか18人という惨状が明らかになった。
地元当局の合同調査チームは、園長と厨房職員らが共謀してインターネットで購入した染料を希釈し、日常的に給食へ使用していたことを確認。押収された染料のパッケージには「食用不可」の警告が明記されていた。問題のメニューは「三色ナツメ餅」と「コーンソーセージロール」で、見た目も不自然なほど鮮やかだったという。

検査では、これらの食品から1052㎎/㎏、1340㎎/㎏の鉛が検出された。これは中国の国家食品安全基準である0.5㎎/㎏をはるかに上回る危険な数値であり、明確な「毒物混入」と言える。
事件発覚後、園長を含む関係者8名がすでに刑事拘束されており、故意性の高さが疑われている。西安中心病院で検査を受けた一部園児の血中鉛濃度は200~500㎍/ℓに達し、中国当局が定める基準(100㎍/ℓ)を大きく上回っている。米国CDC(疾病予防管理センター)では、50㎍/ℓを超えると鉛中毒と判断している。
ある保護者は現地メディアに対し、「6歳の娘の髪に白髪が混じり始め、歯も黒ずんできたので病院で検査を受けた。結果は鉛中毒で、血中鉛濃度は284.9㎍/ℓだった」と怒りと悲しみをあらわにした。
注目の記事