
他人に対して思いやりがあり、質素な生活を好み、穏やかな印象を持たれることの多い菜食主義者だが、肉食者に比べて、実は権力や成功を求める気持ちが強く、個人主義的な傾向が高いことが研究によって明らかになった。
6日、科学研究専門メディア「スタディ・ファインズ(Study Finds)」の報道によると、ポーランドのSWPS大学のジョン・ネズレク教授らの研究チームが3,700人以上の成人を対象に、普遍主義、博愛、順応、権力追求、支配欲などを調査した結果、菜食主義者は肉食者に比べて利他性(家族や友人など身近な人への配慮)、安定性(安定と安全を求める価値観)、順応性(社会規範に従う傾向)の評価で低いスコアを示した。一方、個人の権力、達成、刺激に関連する価値観の評価では肉食者を上回るスコアを記録した。
一般的に菜食主義者は利他的で理想主義的なイメージがあるが、実際は集団の調和よりも個人的な目標を優先し、社会的トレンドに逆らうことを恐れない独立した思想家であることが示唆された。
学術誌『PLOS ONE』に掲載されたこの研究では、心理学で広く使用されるシュワルツの「価値観測定尺度(PVQ)」を用いて参加者の価値観評価が行われた。
価値観研究で広く活用されるこの価値理論において、権力は「他者と資源に対する支配の追求」、達成は「社会的基準に従って能力を証明することで個人的成功を得ること」と定義されている。
ネズレク教授は「この研究結果は、菜食という選択が、個人の独立性や個性を重んじる価値観と結びついている可能性を示している」とし、「これは菜食主義者の一般的なイメージとはやや矛盾する」と説明した。
彼は、どの社会においても菜食主義者は少数派であるため、社会的圧力や批判に耐える必要があり、個人の信念に対する強い確信と精神的な強さが求められると指摘した。
ただし、ネズレク教授は今回の結果がアジアや南米など他の文化圏でも同様に見られるかは不明であり、価値観(value)の定義や測定方法によって異なる結論が導き出される可能性があると、研究の限界を認めた。
それでも彼は「菜食主義者は動物の苦痛や環境問題により敏感で、これらに対する意識が高い可能性があるが、この感受性と意識が『利他性(Benevolence)』と必ずしも結びつくわけではない」と述べ、「また、この研究は菜食主義者が自らの信念を守る少数派として一貫した価値観を持つ傾向があることを示している」と結論づけた。
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