27 C
Tokyo
2025年07月17日木曜日
ホームトレンド「史上最大規模」のブラックホール衝突が観測!太陽質量265倍、“相対性理論の限界”に迫る超大質量ブラックホール誕生の一部始終

「史上最大規模」のブラックホール衝突が観測!太陽質量265倍、“相対性理論の限界”に迫る超大質量ブラックホール誕生の一部始終

引用:LIGO研究所
引用:LIGO研究所

宇宙史上最大級のブラックホール衝突が、ついに地球でとらえられた。英バーミンガム大学のグレゴリオ・カルーロ教授率いる研究チームは、日米欧の重力波観測ネットワーク「LIGO-Virgo-KAGRA(LVK)」が、重力波観測史上で最も巨大なブラックホールの合体を検出したと発表した。観測は2023年11月23日、アメリカ・ワシントン州とルイジアナ州に設置された2カ所のLIGO(米国のレーザー干渉型重力波観測所)で同時に行われた。

この衝突は、地球からおよそ100億光年離れた深宇宙で発生。太陽の137倍と103倍という超大質量ブラックホール同士が激しく回転しながら接近し、最終的に衝突。衝突の衝撃で発生した微細な重力波が地球に届き、検出された。このとき発生したリングダウン現象(ブラックホールが1つに合体する直前の振動)も精密に記録されている。

衝突によって誕生したブラックホールの質量は、太陽の265倍に達する。これはこれまで観測された重力波イベントの中でも群を抜く巨大合体であり、従来の観測例(多くは太陽質量の30〜80倍程度)とは桁違いのスケールとなった。物理学者たちは、このような高質量ブラックホール同士の衝突自体が非常に稀であり、観測自体が極めて貴重なものだと口を揃える。

今回の観測で得られた重力波の波形は極めて複雑で、合体したブラックホールは過去に他のブラックホール同士の合体を経た「階層的ブラックホール」である可能性も示唆されている。LVKのマーク・ハナム教授(カーディフ大学)は「これまでに見た中で最も極端な例」と述べ、チャーリー・ホイ教授(ポーツマス大学)は「一般相対性理論が許容する回転速度の限界に迫るブラックホールで、理論モデルの構築にも大きなヒントになる」と語った。グレゴリオ・カルーロ教授は「この信号の全貌を理解するには数年を要するだろう。だが、これはまさに重力波研究の新時代の幕開けだ」として、興奮を隠さなかった。

関連記事

コメントを書く

あなたのコメントを入力してください。
ここにあなたの名前を入力してください