
カンボジアで、韓国人を標的にした就職詐欺や拉致・監禁事件が深刻化している。求人サイトやSNSで「高収入保証」を掲げ、韓国人を現地に呼び寄せたうえで、株式に関連する詐欺やボイスフィッシングに無理やり加担させる手口が横行している。
これらの詐欺グループの多くは、中国系のギャングが運営する違法なコールセンターを拠点としている。被害者を監禁し、目標金額を達成できないと暴行や拷問を加えるケースも多く、早急な対策が求められている。
30日、韓国与党「国民の力」のキム・ゴン議員室が外交部から提出された資料によれば、今年上半期にカンボジアで発生した韓国人対象の就職詐欺被害は226件。すでに昨年の年間件数(220件)を上回った。拉致・監禁被害も同期間に212人に達し、このままのペースで進めば昨年(221人)の2倍に及ぶと予測されている。
国際人権団体アムネスティによると、カンボジア国内には大規模な詐欺拠点が存在し、高いフェンスと武装警備員によって被害者を拘束。詐欺ノルマに届かないと暴力や電気ショックなどの拷問を加えているという。
昨年5月、カンボジア・ウドーミアンチェイ州の施設から脱走を試みたパクさん(28)の証言がその実態を物語る。中国系組織が運営するコールセンターで働いていた彼は、「買い物に行く」と言ってタクシーを呼び逃走を図ったが、すぐに捕まり、暗い倉庫に監禁された。
彼は水責めや電気ショックを受けたと語り、組織員たちがその様子を撮影し、「韓国の知人に流す」と脅迫してきたという。
また、今年1月にカンボジア・ポイペトの拠点から脱出したチョンさん(27)も、日常的な暴力や恐怖にさらされていたと話す。「成果が出ないと、仲間が体中真っ赤になるまで殴られていた。暴力を避けるには言われた通りに動くしかなかった」と振り返った。
こうした犯罪の多くは中国系マフィアが関与しているとされ、英『ガーディアン』は三合会系の人身売買ネットワークがSNSでアジア人を勧誘し、犯罪組織に売っていると報じた。『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』も、数十億ドル(数千億円)規模のサイバー詐欺を手がける中国系グループがカンボジアで勢力を拡大していると伝えている。
韓国の検察関係者も、「カンボジアを拠点とする詐欺ネットワークの首謀者は大半が中国系だと把握している」と明かした。
専門家たちは、韓国政府がカンボジア政府と連携し、現地の犯罪組織への摘発や被害者救出に向けた実効的な対策を講じるべきだと訴えている。東国大学のイ・ユンホ教授は「外交チャネルを活用し、早期の摘発と人命救助が急務だ」と指摘している。
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