
エリック・トランプが「トランプ家から誰かがホワイトハウスに挑戦する可能性はある」と語った。だが自らについては「出馬は考えてもいない」と明言し、政治の残酷さと家族への代償を理由に慎重な姿勢を崩さなかった。
トランプ米大統領の次男である彼は、『BBC』とのインタビューでこう語った。「国家の状況が極度に悪化すれば、我が家の誰かが立候補する可能性はある。だが本当に出馬したいかどうかがより重要だ」と。これは父ドナルド・トランプ大統領がかつて語っていた「自分しかいない状況になれば、出るしかない」との言葉をなぞるような発言だった。
「自分が2028年に出馬するか」との問いには、即座に否定。「出馬を勧める声もあったし、話が出たこともある。でも私は今、ビジネスを順調に回していて、小さな子どももいる。政治はあまりに残酷だ。正直、考えたこともない」と語った。
彼が政治から距離を置きたい理由には、この10年間にトランプ家が受けた数々の攻撃があるという。「我々は地獄を見た。破産させられそうになり、父は刑務所に送られかけ、虚偽のロシア疑惑で弾劾され、暗殺未遂まであった。子どもたちに同じ苦しみを味わわせたくない」とまで語った。
その一方で、J.D.ヴァンス副大統領やマルコ・ルビオ国務長官といった他の有力な共和党政治家たちを称賛。「彼らが父の遺産を受け継いでくれると信じている。我々家族でなくても構わない。共和党には素晴らしい人材が揃っている」と述べた。
先月の『フィナンシャル・タイムズ』とのインタビューでも、彼は「父の2期目が終われば、家族にとって政治のハードルは下がるだろう」と語っていたが、「挑戦そのものより、代償の重さが家族にとってあまりに大きい」と胸の内を明かしていた。
現在、彼はトランプグループの共同経営者として企業活動に注力している。父が再び大統領の座に返り咲いた今も、政界入りの意思は見せていない。
政治アナリストらは「トランプ家はすでにアメリカの名門政治ファミリーの地位を築いており、誰が出るかは重要ではない。遅かれ早かれ政治的な遺産は何らかの形で継承されていくだろう」と見ている。
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