
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した「エイベル209」銀河団。各点や渦巻きは個々の銀河である。「ビッグクランチ」が起これば、これらの銀河を含む宇宙の物質が一点に集まり、消滅する。
宇宙が一点に収縮し、完全に消滅するという研究結果が発表された。この「ビッグクランチ」と呼ばれる現象により、宇宙のすべての存在が完全に消滅する時期は今から195億年後と予測されている。
米コーネル大学と中国上海交通大学の研究チームは、最近論文プレプリントサイト「arXiv」において、宇宙の年齢が333億年に達した時点で寿命を迎えるとの研究結果を発表した。宇宙は138億年前に誕生したため、今後195億年後に終焉を迎えることになる。

研究チームは、「宇宙は、今後約70億年は現在のように膨張を続けるが、その後突然収縮に転じ、最終的には一点に縮小して完全に消滅する」と予測している。
科学界では、宇宙が一点に収縮して消滅する現象を「ビッグクランチ」と呼ぶ。近年、主流の説は宇宙が永遠に膨張し続けるとされていたが、今回の研究チームは全く異なる形で宇宙の最期を予見した。
この予測の根拠となるのが「ダークエネルギー」である。ダークエネルギーは正体不明の物質で、宇宙全体のエネルギーの約70%を占める。既に解明されている機能は、互いに押し合う「斥力」であり、現在の宇宙膨張もこの暗黒エネルギーの影響によるものである。
しかし、研究チームが各種望遠鏡の観測結果とシミュレーション分析を通じて調査した結果、ダークエネルギーの力が永続的でない可能性が高いとの結論に至った。暗黒エネルギーがある瞬間に力を失うと、まるで強く引っ張られたゴムを突然放したかのように、宇宙が元の状態へと急激に収縮するという仕組みである。
研究チームは「この予測にはまだ不確実性がある」としながらも、「近い将来、人類が運用する新たな観測機器により、より確実な結果が得られるだろう」と見込んでいる。
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